昨日の明日、春の訪れ
松たか子と言えば女優のイメージが強くあり、若い世代は某アニメーション映画での作中での歌を歌っている、程度の認識かもしれません。
「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」は映画作品の大ヒットがあり、作中キャラクターの心境を繊細に表していることで爆発的な認知度となりました。
着目すべきはその表現力であると感じます。
女優として平成5年に歌舞伎座での初舞台を踏み、以来平成9年の歌手デビューを果たすまでに様々なテレビドラマや舞台で演技力に磨きがかけられたのでしょう。
「明日、春が来たら」
年月を重ねても、ふと思い出す純朴な乙女の気持ちが切ない曲です。
歌手然りとした太さのある歌声ではなく、やや素朴であるところがまた共感を誘います。
「The Shooting Star」や「黄昏電車」の歌詞のあどけなさ、素直な雰囲気は聞いていると穏やかな気持ちになります。
やたらとシリアスであったりメッセージを全面に出すばかりでは、「音」を「楽しむ」ことは出来ません。
その点松たか子の楽曲は通勤時やドライブ、仕事を終えた帰路の道中そのどのシチュエーションにも深入りしすぎない、安いヒロイズムや御涙頂戴の三文芝居ではないのです。
どの曲にも大げさでない自然なアプローチが流石の表現力であり、安心していられるアーティストです。