心を揺さぶる、日本の妖怪ロック
ゆら帝の魅力はまず、妖精のようなメンバーの佇まいです(天然パーマに赤いパンタロンと薄い眉、可愛いおかっぱの長髪が綺麗なおじさん、とか)。この「何者かわからん」という感じもまた、かっこいいのです。
この3人編成のバンドは、メンバーそれぞれの個性がぶつかって、それがエネルギーになっているように感じます。ゆらゆら帝国の音楽は僕自身がいかに空っぽであるかを教えてくれ、そして体の力が抜けて楽になります。亀川千代のうねるベースが、小気味好い柴田一郎のドラムの上に乗っかり、坂本慎太郎が一癖も二癖もあるフレーズをギターでかき鳴らしながら、ファズエフェクターを踏み抜いたときにリスナーはもれなく絶頂を迎えます。
そして、忘れてはいけないのは坂本慎太郎独特の死んでもいないが生きてもいないような歌詞。たまに、というかほとんどの場合において、歌詞が何を意味しているのかよくわからないことが多いです。しかし、歌詞を読み上げてみたときの心地よさであったりとか、妙な語感の良さにハッとさせられることがよくあります。そして読み上げたときに、また歌詞の理解について考え直し、どんどんと見方が変わるということがよくあります。坂本慎太郎が水木しげるを敬愛しているということもあってか、歌詞にはいつも妖怪の存在を感じずにはいられないこともあります。その妖怪っぽさは一種の捉えどころの無さのことかもしれません。
色々書いてはみましたが、自分自身がゆら帝が好きすぎることもあってうまく書くのが難しいです。やはり聞いてみることが一番ですので、こんな文章読まないでCDでも聞いてみるのが一番だと思います。ゆら帝最高!