アイドルであることを最大限に、真剣に遊んだバンド「チェッカーズ」
1983年9月21日にデビューし、1992年12月31日に解散した日本のバンドです。
メンバーはリードボーカルの藤井郁弥、再度ボーカルの高杢禎彦、鶴久政治、ギターでリーダーの武内享、ベースの大土井裕二、サックスの藤井尚之、ドラムの徳永善也の7人。1980年、まだメンバーが高校生の頃、福岡県久留米市で結成されました。
バンドにもかかわらずアイドルのような揃いのチェックの衣装や奇抜な髪型が目を引き、デビューから1年もたたないうちに社会現象ともいわれるほどの旋風を巻き起こした彼ら。音楽活動にとどまらず、テレビのバラエティ番組やドラマ、映画への出演、ラジオのパーソナリティ、MCなど個人でも活動の幅を広げていきました。
アイドル的なブレークとその後のタレント活動のイメージが大きかったことで、バンドとしての音楽的な評価があまり聞かれないままの解散となってしまいました。
それでもメンバーのうち4人が大ヒットしたシングル曲を作曲し、ボーカル以外のメンバーも含めた7人全員でのアカペラナンバーで美しいハーモニーを披露するなど、音楽性の高いメンバーが多く揃っていたことは明らかです。
アマチュア時代はドゥーワップやリズムアンドブルース、もしくはロックンロールを得意としていました。デビュー後は歌謡曲、ポップス系の作家陣が提供する楽曲が多くなりました。デビューから5年後にメンバーによるオリジナル曲のみで楽曲制作をするようになってからは、ダンスミュージック、ジャズ、スカなどその時々で彼らが好んでいた音楽を柔軟に取り入れ、より豊かな音楽表現が増えていきました。
ただ、どんなジャンルの音楽でも打ち込みを使わず演奏は人の手で行い、コーラスワークは欠かすことがなく、自分たちでしか出せないビートや歌声を強みにしてこだわって表現していました。
また、ライブでのアリーナ中央に円形ステージを置く演出や楽器陣も踊りまくるパフォーマンスは、結成時からのコンセプト「見せるバンド」そのものでした。
解散後にはドラム担当の徳永善也が他界。チェッカーズの音楽はもう二度と再現されることはありません。その時代を共にした者でしか体感できなかった、カラフルでポップなチェッカーズはファンの心の中で生き続けています。