うらたろう / URATARO

うらたろう / URATARO

『うらたろう』とは、中山敦支による漫画作品。『週刊ヤングジャンプ』2016年35号にて、第0話にあたる『ちよ』を掲載後、翌週の36号から2017年44号まで連載された。物語は、不死者である温羅太郎が出会った少女・千代に自分を殺してもらうために黄泉比良坂へと向かう第一幕と、鬼の王が出現し、人間が食われ奴隷となった世界で温羅太郎は千代のバラバラとなった7つの遺骸を集めるため日本各地を探し回る第二幕「回生編」に分かれている。

うらたろう / URATAROのレビュー・評価・感想

うらたろう / URATARO
10

ダークファンタジー隠れたの傑作!死にたいけど死にたくないが混ざり合う異端な作品!

『うらたろう』は、中山敦支によるダーク・ファンタジー漫画で、2016年から2017年にかけて『週刊ヤングジャンプ』で連載されました。物語は、平氏が源氏を倒した後のパラレルワールドの鎌倉時代を舞台に、不死の主人公・温羅太郎(うらたろう)と16歳で死ぬ運命にある少女・千代の冒険を描いています。

温羅太郎は800年もの間生き続けており、死ぬことができない自分の運命に絶望しています。彼は千代に出会い、彼女に自分を殺してもらうために旅を始めます
千代は明るく天真爛漫な性格で、他者のために自分の命を投げ出すことも厭わない少女です。彼女もまた、不死になる方法を求めて旅をしており、2人は共に黄泉比良坂を目指します。

物語は、妖怪や鬼が登場するダークな世界観の中で進行し、戦闘シーンや感動的な場面が多く描かれています。
特に、温羅太郎と千代の関係性や、それぞれのキャラクターの成長が見どころ。また、絵のクオリティも高く、細部まで丁寧に描かれているため、視覚的にも楽しめる作品です。
作中に出てくる「静かに眠らせてやらねぇか!!」のセリフとともに激高するうらたろうの見開きページでは、目頭が熱くなりました。

一方で、物語の進行がやや遅く感じられる部分もあり、好みが分かれるかもしれません。
また、ダークなテーマやグロテスクな描写が含まれているため、苦手な方には若干の注意が必要な作品となっています。

総じて、『うらたろう』は、ダーク・ファンタジーや歴史ものが好きな読者にとっては非常に魅力的な作品です。キャラクターの深い心理描写や、緻密なストーリーテリングが光るこの作品は、1度読み始めると引き込まれること間違いなしです。