社会に押し潰されそうな人に送る救済の映画
仕事が辛いと感じている人や、明日が来るのが怖いという人に見てもらいたいです。
この映画の舞台は、大手通販サイトの物流センター。お客さんが購入した品物を、ピックアップして運送するための業務を日々行なっています。主人公は、明るくて頭も切れる、新任のセンター長「舟渡エレナ」。
彼女が着任した日は、年に1度の大セール、ブラックフライデーの期間でした。新しい環境で仕事に励もうとした時、センターから出た荷物に爆弾が混入されていることが発覚。
エレナは事態を解決するために、無気力そうな部下の「梨本孔」と様々な手を打っていきます。しかし、事件は連発。外部の人間は侵入出来ない、危険物は持ち込めない。そんなセキュリティ万全のはずのセンターで、なぜ爆弾が入れられたのか。犯人は誰か、その謎を解くミステリーが主軸に置かれています。
しかし、その裏で登場人物たちの苦しさ、悩みが浮き彫りになっていくのです。エレナは、明るく仕事に励んでいるように見えます。彼女は、実は過去に心を病んで休職しており、今でも不眠症に悩まされ、眠れる毎日です。孔は、過去に「日本の悪いところを煮詰めたような会社」で悩まされ、転職してきたという経歴の持ち主です。
この2人だけでなく、センターが契約している運送会社、末端の配達員。みんな、社会のシステムに苦しめられています。
これは、現代社会に生きる私たち、すなわち見ている側と同じです。キャラクターたちを通して、見ている側は自分の心の傷や苦しさと向き合うことになるでしょう。
しかし、苦しいだけではありません。物語の最後に、主人公のエレナはある選択をします。その決断は、苦しむ私たちを慰め、救い、少しだけ背中を押してくれることでしょう。
その選択の内容は、ぜひご自身で確かめて下さい。