恐ろしくも悲しい
後から知ったことですが、誰もが知る大手企業の55億円巨額詐欺事件がもとになっているとは思いませんでした。土地がらみの問題で地上げ屋という人たちが横行していた時代は知っていましたが、地面師という言葉は今回初めて耳にしました。
小説が原作らしく読んではいませんが、視聴した感想はとにかくリーダーを演じている豊川悦司さんのハリソン山中が怖すぎました。冷静に淡々と、一見落ち着いていて怖そうに見えないのに、要所要所でこれでもかと冷酷さが表面化していきます。ハリソンの求めるスリルとエクスタシーが常軌を逸しています。最も印象に残ってしまった言葉「もっと死人がゴロゴロ出るような山をやりましょう」を聞いた時は背筋がゾッとしました。ある意味ホラー要素も包み隠さず演出として表現されているので、視聴後の満足感は高いですが、誰にでもお勧めできるとは言い難いです。他の地面師たちメンバーもそうそうたる俳優さんが演じていますが、どのキャラクターも良い意味で個性が強く記憶に残ります。加害者がいれば被害者もいるという事で、被害者視点から見ても正に地獄に突き落とされる瞬間の表情や態度が現実でも日々起こっているかもしれないと思うと、他人事には思えない内容でした。
原作は分かりませんが、脚本は凄く練られていると思います。中だるみもなく内容が濃いので視聴する側もどんどん前のめりになって見てしまいました。最後になりますが、なりすまし役や地面師たちの末路...複雑でした。