劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCEのレビュー・評価・感想

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE
10

バカ野郎って、10年越しに言い返されるとは常守さんも思ってなかったでしょうね。

『PSYCHO-PASS』は2012年に放送がスタートした、近未来の刑事たちが正義の在り方について葛藤する様を描いたアニメーション。テレビシリーズから映画と歴史を歩み続け、10周年の2023年5月に『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』が公開された。

物語の舞台は、世界紛争により荒廃した国際社会において、鎖国を貫き法治国家として争いを逃れた日本。
日本では「シビュラシステム」という人間の心理状態や性格的傾向を測定し数値化するネットワークがあり、測定した数値「PSYCHO-PASS(サイコパス)」により、犯罪を起こす前に「潜在犯」として捕らえられることが社会の平和と秩序を守ることだと国民には周知されている。
映画は第1シリーズから作品内では5年経過しており、「シビュラシステムがあれば犯罪者を事前に捕まえることができるため、法律は不要だ」という政府の官僚たちと、主人公の常守朱(つねもりあかね)は刑事として戦うことになる。

作中で起こる事件によって常守朱と狡噛慎也の関係は、上司と部下から刑事と逃亡犯と関係性が変わって行くのも特徴。
常守の正義の在り方は、部下時代の狡噛からの影響を強く受けている。法で裁けない犯罪者が生じた場合のことを考えない官僚たちの意識を変えるため、常守は物語終盤である選択をする。その際に狡噛から出たセリフが「バカ野郎」なのだ。
これは1期で常守が狡噛に対して「バカ」と言ったことを踏まえると、非常に皮肉が効いている。シリーズを見たことがない人でも、本作は楽しめるようにできているのでぜひ視聴してほしい。