自分のなかにある当たり前が問われる作品でした
自分が正義だと思っていることは、誰かにとっての正義ではないのではないか、自分のなかにもつ価値観が何度も問われたそんな作品でした。
「流浪の月」は、本屋大賞も受賞した凪良ゆうさんの小説を原作としています。そして、その凪良ゆうさんが描く世界観が、松坂桃李さん、広瀬すずさん、横浜流星さん、多部未華子さんといった豪華な俳優陣によって繊細にかたちづくられています。
この作品は第46回日本アカデミー賞にて、6部門で優秀賞を受賞したことからも、日本の映画界で非常に高い評価を得ていることを物語っています。この作品を観て、松坂桃李さん演じる文と、広瀬すずさん演じる更紗を取り巻く境遇に、ただかわいそうだなと思う人もいるでしょう。しかし、そこから一歩踏み込んで、文と更紗を通して自分のなかにある正義や、自分の傍にいる人のことに思いを馳せてみようとすると、自分のなかにある当たり前の多くを疑い考えさせられるのではないかと思います。それは、それぞれの人がもっている価値観は異なるものであることを前提としていますが。
このように、様々なことを考えさせられる「流浪の月」は、1度ではその全てを咀嚼することは難しいです。何度も見返しながら世界観を噛み締める必要があるではないかと思います。