ハードボイルドな雰囲気と緻密なキャラクター描写が魅力的な作品
本作はバットマンの映画としては、トーンが沈んでいることが特徴的だ。
物語はハードボイルドな雰囲気を持ち、登場キャラクターたちが緻密に描かれている。
とくにロバート・パティンソンが演じるバットマンは、これまでの映画版とは異なる新鮮な印象を与えており、彼の演技力は劇中でも光っている。
本作に登場する脇役キャラクターも魅力的で、ゾーイ・クラヴィッツ、ポール・ダノ、ジェフリー・ライト、ジョン・タートゥーロ、ピーター・サースガード、アンディらが素晴らしい演技を見せている。
彼らが演じるキャラクター同士の絡みも、物語の見どころのひとつだ。
本作はアメリカで一足先に公開され、批評家からも高い評価を受けている。
映画サイトRotten Tomatoesでは166名の批評家が評価を投稿し、その平均値が高いことでも知られている。
本作の雰囲気を言葉にすると「ねっとりとしたビターさ」。従来のバットマン映画とは異なる、独特の世界観に浸ることができる。
また、ニルヴァーナの楽曲「Something in the Way」が印象的に使用されていることも見逃せない。
監督のマット・リーヴスは、様々なインタビューで今回のバットマンはカート・コバーンから影響を受けていることを公言しており、その点が楽曲の起用につながったと考えられる。
「Something in the Way」は、カート・コバーンがホームレスになっていたら、という想像のもとで歌われた曲であり、そのダークでメランコリックな雰囲気が、本作のハードボイルドな世界観と見事にマッチしている。
この楽曲の使用により、本作のトーンが一層引き締まった印象を受ける。
回を重ねるごとにダークな雰囲気を増し、さらにハードボイルドな世界観を提示している本作。
登場人物の心の闇や街の陰影を描写することで、観客はバットマンの苦悩や葛藤をより深く感じることができるはずだ。