治癒魔法の間違った使い方 〜戦場を駆ける回復要員〜

治癒魔法の間違った使い方 〜戦場を駆ける回復要員〜

『治癒魔法の間違った使い方 〜戦場を駆ける回復要員〜』とは、くろからによる日本のライトノベルでイラストはKeGが担当している。2014年3月から「小説家になろう」(ウェブ連載版)で連載が開始され、2016年3月からMFブックス(KADOKAWA)でウェブ連載版とは異なる展開となる書籍版を刊行している。九我山レキによる漫画版がメディアミックスとして2017年6月号から『月刊コンプエース』(KADOKAWA)にて連載されている。
主人公のウサトはカズキ・スズネと共に異世界に召喚されるが、勇者として召喚されたのはカズキ・スズネの2人であり、ウサトはただ巻き込まれただけだった。その後ウサトには治癒魔法が発現し、救命団という部隊に配属されることとなる。しかし救命団は自身の傷を癒しながら身体を鍛える脳筋集団で、鍛え上げた身体で誰よりも早く戦場を駆け回り、ケガ人を収容・治療し、時にはケガ人が出る原因を自力で排除するという部隊だった。ウサトは勇者とは異なる斜め上の活動をすることとなる。

治癒魔法の間違った使い方 〜戦場を駆ける回復要員〜のレビュー・評価・感想

治癒魔法の間違った使い方 〜戦場を駆ける回復要員〜
10

だれも傷つけない無敵の治癒パンチ!!

なんの取り柄もない普通の高校生である主人公、うさとけん。ある日、仲良くなった生徒会長(美少女)と副会長(イケメン)の2人だけを対象にした異世界への勇者召喚に巻き込まれる。これはうさとけんが召喚された先でハチャメチャに活躍していく物語である。
召喚された時は、「なんの取り柄もない自分は直ぐに捨てられる」と思いきや、王様や取り巻きの騎士達はとても親切に接してくれた。なんとかこの世界でも生きていけそうだとひと安心したのも束の間、3人の魔力適正を測定することになる。魔力測定の結果ウサトは緑色に輝く治癒魔法の使い手であることが判明する。測定が終了した瞬間、周りにいる人の表情が一変する。なにか不味いことでもあったのかと不安に思っていると、後ろから1人の女性があらわれウサトをさらって出ていってしまう。着いた先は救命団の訓練所で、その日からウサトの地獄の日々が始まる。

物語の初め、主人公はどこにでもいる平凡な男子高校生のように描かれていたが、訓練所に連れていかれ、救命団団長であるローズの地獄の特別訓練を経て、ウサトの性格が180度変貌していく様子を見ているのがとても面白い。ローズの圧倒的な強さを前にしても心が折れず、たとえ殴り蹴り飛ばされても何度でも立ち向かっていく様子は、読んでいて勇気を与えてくれる。そしてウサトが次々と必殺技を開発し、それを実戦で使い、仲間に引かれてしまうというコメディ要素もあり、それもこの小説も魅力となっている。
ぜひ楽しんでみてほしい。