007/消されたライセンス

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007/消されたライセンス
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007シリーズの中で評判も悪く、興行収入もパッとしなかった作品

007シリーズの中で評判も悪く、興行収入もパッとしなかったこの「消されたライセンス」。

評判が悪かった理由は、ボンドが親友の復讐のため007を辞するので、任務ではなくなり、必殺仕事人と化すため、ボンド本来のクールで洗練された味わいがなくなってしまったから。

興行収入が悪かったのは、当時007にライバル映画が多く出てきたためだったと思う。

1980年代後半に公開されていたアクション物といえば「インディ・ジョーンズ」「ダイ・ハード」「リーサル・ウェポン」シリーズなど、ボンド・ムービーの影響を受けているが、明らかに面白さやスケール感が上回っているアクション物が多く、007はちょっと古臭い印象を与えていたのだと思う。

前作「リビング・デイライツ」で颯爽と登場したニュー・ボンド 、ティモシー・ダルトン。
それまでのユルく年寄り臭くなった感じのロジャー・ムーアから一転、クールでタフな感じで評判もよく、この「消されたライセンス」にも出演したが、たった2作で降板してしまった。

冷戦構造が終焉を迎え、それまでのスパイもののプロットが成り立ちにくくなり、苦慮しているときにボンドになってしまったのが、ダルトンの悲劇であろう。

この作品は、それまでのボンドシリーズではあまりなかった残酷な描写もある。
親友フェリックス・ライター(デヴィッド・ヘディソン)は、鮫に足を食いちぎられる、減圧室でのクレスト(若き日のベ二チオ・デル・トロ)は、むごたらしい最後を遂げ、麻薬王サンチェス(ロバート・ダビィ)は、炎につつまれて死ぬ。

そんなリアルでダークな描写もあったため、各国のレイティングでの年齢制限も上がってしまい、この「消されたライセンス」は、アメリカでは、007シリーズのワースト興行成績を上げてしまうことになる。