孤独のグルメ / Kodoku no Gourmet

孤独のグルメ / Kodoku no Gourmet

『孤独のグルメ』とは、日本の漫画作品である。原作は久住昌之、作画は谷口ジロー。1994年に『月刊PANJA』にて、1994年から1996年にかけて連載された。その後、2008年に『SPA!』で読み切り作品として復活し、その後は2015年まで新作が掲載された。単行本も発売されており、全2巻となっている。
本作品はグルメ漫画だが、大きな特徴は、ストーリーに展開が少ないという点である。主人公の井之頭五郎(いのがしらごろう)が一人で食事を楽しんでいるシーンが中心であるため、他の人物との会話は少ない。本作品は海外でも翻訳版が発売されており、イタリアやフランス、韓国などさまざまな国の人々に親しまれた。
2012年には松重豊を主演としてテレビ東京系でテレビドラマ化。シリーズ化されるほどの人気作となり、スペシャルドラマも放映されている。また、2015年には台湾でも映像化され、ウェブドラマとしてシリーズ化されている。

孤独のグルメ / Kodoku no Gourmetのレビュー・評価・感想

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孤独のグルメ / Kodoku no Gourmet
9

小説のような読み心地のハードボイルドグルメ漫画

言わずと知れたドラマ版「孤独のグルメ」はずっと見続けてきましたが、読んだことがなかった原作漫画が気になり、読んでみました。
主演の松重豊さんのキャラクターのせいか、親しみやすさを感じていたドラマ版に対し、漫画はハードボイルドな雰囲気を感じました。
ただご飯を食べることが中心なのに、硬派な語り口が面白かったです。
頭の中で実況している、1人でご飯を食べる主人公や、街の様子を読むスタイルの漫画は珍しいと思いました。

ドラマにはなかったはずの、温められるシウマイ弁当を新幹線の車内で食べ、周囲に匂いを充満させ失敗したエピソードのほか、選んで失敗した物の話もあり新鮮でした。
「そんなこと考えながら買い物するな」と共感できる、コンビニで夜食を購入するだけの描写も良かったです。
飲食店で豚肉炒めととん汁を注文し豚がだぶったり、コンビニでおでんのうずらと卵焼きを購入して卵が重なったり、あるあるの小さな失敗も面白みがありました。
ドラマ版で聞いたことがなかったはずの、よりリアリティがある「このきゅうりうまくないな」のセリフに親近感を覚えました。
井之頭五郎らしい名言「ああ、なんてことだ、食べ始めているのに、さらに腹がへっていくかのようだ」が出てきたときは嬉しかったです。

甲子園の予選に出場する甥っ子を叫んで応援していました。「苦手だ」と思いながら自然派のお店に入り、食べてみたら美味しくて追加注文しました。井之頭五郎のこれらの断片的な情報やちょっとした機微に心惹かれました。
小説のような読み心地の魅力的な漫画を、ぜひ読んでもらいたいです。

孤独のグルメ / Kodoku no Gourmet
8

ドラマでおなじみの名作

「孤独のグルメ」は、独特なコンセプトと緻密な描写で人気を博している漫画です。主人公・井之頭五郎の食べ歩きの日常を通じて、食べ物の魅力と孤独さを描き出しています。
この漫画の魅力の一つは、主人公の五郎のキャラクターです。五郎は食べることが大好きなフリーの輸入商であり、普段は地味で物静かな性格ですが、食べ物に関する情熱と探究心は人一倍強いです。彼の独自の食べ歩きスタイルや食へのこだわりは、読者にとっても興味深い要素となっています。
作中では、五郎が様々な店舗や食事をする様子が詳細に描かれます。彼が食べる料理の一つ一つには、その背景や調理法、食材の鮮度など、細部にまでこだわりが感じられます。また、五郎が食事を楽しむ様子や、食べ物が与える感情的な満足感もリアルに描かれており、読者はその臨場感に引き込まれます。
漫画のテーマである孤独さも、作品の魅力の一つです。五郎はいつも一人で食事をしており、食べることを通じて孤独を感じながらも、その中で食べ物との対話や新たな発見を楽しんでいます。このような独特の視点から描かれる孤独さは、読者の心に共感を呼び起こし、考えさせられる要素となっています。
「孤独のグルメ」は、食べ物という身近なテーマを通じて、五郎の個性や食文化を描き出しています。作品全体を通して、読者は五郎とともに食べ物の世界を巡り、新たな料理や店舗に出会う喜びを共有することができます。そのため、食べ物やグルメに興味のある方にとって、この漫画は一読の価値があるでしょう。