アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのレビュー・評価・感想

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
6

素晴らしい映像、でも内容は……。

2009年公開「アバター」の続編であり、革新的な映像表現で話題になった作品です。
2作目である本作は技術の進歩が凄まじく、作中の主な舞台が海になったこともあって、水の表現はとても美しく一見の価値ありだと思います。

惑星パンドラを舞台に、前作の主人公・ジェイクが原住民のリーダーとなって家族を持ち、新たな物語が展開されます。
人間が意識だけをアバターに移し、原住民ナヴィに溶け込もうとした前作とは大きな違いがありました。
それは、前作の最後で本物のナヴィになったジェイクに、ナヴィの家族がいることです。
実の息子と養子、前作のヒロインであり今作で妻になったネイティリなど、ジェイクの家族に物語の焦点が当てられているのが特徴です。

しかし映像面での大幅な進化が素晴らしい反面、物語としての強度に疑問を覚えます。
惑星パンドラ内で森から海へ舞台が移ったのはいいのですが、その動機は前作で描かれた人類との戦いが再び始まったこと。やっていることは前作と変わらないのではないのか、と思ってしまいました。
ヒットするためには必要な要素なのかもしれませんが、個人的にはもう少し遊びが欲しかったところです。
家族、または疑似家族を題材にする映画が増えていることもあって、映像は大満足ですが、ストーリーや設定などでもインパクトが欲しかったと思います。
個人的には実際に作中で描かれた原住民の生態、その星にしかいない生物、或いは宗教観など、地球とは異なる惑星にしか存在しないものを戦いよりもじっくり見せてほしかったです。
前作同様の人間との戦い、森から海へ移るきっかけなど、あまりスッキリしない部分がありました。

映像美や家族の在り方など見所があり、堅実な作りにはなっていますが、予想を裏切るような展開には思えず、興奮に欠ける地味な印象がありました。
しかし酷い作品だとは思いません。誰しもがある程度楽しめる作品には仕上がっているでしょう。
映像はとてもきれいなので、1作目が好きな人や映画ならではの映像美に興味がある方にお勧めの作品です。

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
9

素晴らしい映像体験!

前作の感動を超えるのかな?と懐疑的な気持ちで映画館に足を運びました…。が、さすが我らがキャメロン監督!そんな心配は上映5分で吹っ飛びました!スクリーンに広がる圧倒的な異世界、しかもCGぽい作りモノ感は感じさせず、本当に上質の紀行番組のような自然の美しさ。さらには海や森の生き物たちの生き生きとした質感や動き。呼吸も忘れて見入ってしまいました。

ストーリーは、世界共通の普遍的な愛と家族のつながりの物語です。キャラクター、展開ともに「ベタ」と言えばベタで、特別に個性的な部分はないのですが、感情移入しやすく、思わずスクリーンに向かって「頑張れ!走れ!」とか「ああー、後ろ!」とか叫びたくなります(必死で我慢しましたが笑)。
悪の役割を背負うキャラクターにも、情に厚い面があったりして、多面的な描かれ方をしているのも安心感があります。
個人的にはキャメロン監督に一番期待するのは「異世界への没入感」。キャメロン作品はどれも、まるでアトラクションに乗ってるかのように、圧倒的に「自分ごと映画化」させるパワーがあります。このアバターというシリーズは、監督のその特性に最高にマッチしているのではないでしょうか。シリーズのこれからが楽しみです!

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
3

映像は綺麗だけど…映画というよりプロモーション動画みたい

3時間超えの超大作でありながらも、時間の長さと内容が見合っていないように感じた。

最初の一時間は非常にダラダラした時間で、それならこの一時間で前作のダイジェストでも放送した方が分かりやすかったのでは。時折、前作に絡むシーンは流れたが、前作を見ていないと逆に流れが分かりにくくなるようなシーンばかりで必要性が全く感じられなかった。

だが、映像は相変わらず綺麗!しかし1作目のような刺激的で斬新な映像美ではなく、『風の谷のナウシカ』の腐海の森やラストシーンを彷彿させるような、一度どこかで見た事があるような映像美だった。

前作は男女の恋愛。今作は家族愛をテーマにしているのでストーリーがやや子供向けになるのは仕方ないものの、何度も捕まったり明らかにからかわれているのに気づかず酷い目にあったりとツッコミどころ満載で、『アバター』ではなく別の子供向けアニメのような趣向で期待外れだった。

また、前作ではジェイクのナヴィとして生きる覚悟をした潔さ、ネイティリの野性的な性格が魅力的だったものの、親になってからのジェイクはただの頑固親父。ネイティリは細かくヒステリックに見え、キャラクターの魅力も半減したと思う。

アイマックスシアターで一つの映像エンターテイメントとして楽しむなら良いかもしれないが、ストーリーをしっかり楽しみたい方には不向き。