大人になって見返すと、新たな発見が沢山みつかるアニメ、ハイジ
『アルプスの少女ハイジ』は、幼いハイジがデーテおばさんに連れられ、アルムの山に住む気難しいお爺さんの家で暮らすことになり、そこでの生活を描いた物語だ。まだ4歳なのに、突然見知らぬお爺さんと暮らすことになっても、ハイジは全く動じず、むしろ明るく元気にお爺さんに接していく。彼女の無邪気さや天真爛漫さが、どんどんお爺さんの心を解きほぐしていくのがとても印象的だ。
特に感動的なのは、お爺さんがハイジを本当に大事に思っている描写が物語の中にたくさん散りばめられているところだ。最初は孤独で人付き合いを避けていたお爺さんが、次第にハイジの明るさに引っ張られ、彼女を守ろうとする姿がじんわりと描かれている。その微妙な心の変化が、視聴者にも自然と伝わってくる。
ハイジ自身もアルムの山が大好きで、広大な自然の中を元気に走り回る様子がとても印象的だ。その美しい風景描写や、ハイジが自由に駆け回るシーンの生き生きとした作画は、ジブリ作品で知られる(故)高畑勲監督が手掛けただけあり、さすがのクオリティだ。見ていると、アルプスの壮大な自然とハイジの元気さがまるで一体になっているように感じられる。
特に心に残るシーンは、ハイジが、デーテおばさんにだまされて連れていかれた、フランクフルトのクララの家からお爺さんのいるアルムの山へ帰ってくるところだ。クララの家での豪華さと比べると、アルムの山の自由で素朴な生活がハイジにとって本当に大切な場所であることがよく分かるシーンで、何度見ても胸が熱くなる。彼女にとって本当に大切なのは、贅沢さではなく、自然の中で自由に生きること、そして家族の温かさなのだと感じさせられる。
全体を通して、自然や家族の大切さがしっかり描かれている『アルプスの少女ハイジ』は、何度見ても心が温まる作品だ。美しい作画と感動的なストーリーが、まるで絵本の中に飛び込んだような気持ちにさせてくれる、そんな名作だ。