不徳のギルド

不徳のギルドのレビュー・評価・感想

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不徳のギルド
9

下ネタ、エロ要素強めで人を選ぶが、設定や世界観が面白いので惹きこまれる

まず大前提として下ネタやエロが強めな作品なので、人によっては苦手かもしれない。
ただ、なぜ女性陣のキャラクターがエロいめに合うのかにも世界観なりの理由があったりと、作品を読み進めていくと面白いと思わせるギミックが多い。
なにより、バトルシーンのレベルが高く、意外にも頭を使っての頭脳戦が多めなのが特に面白いところ。
敵にも味方にもきちんと頭を使って戦うキャラクターがおり、なにより集団戦などを描く時は死んでいるキャラクターがいないのが魅力。

バトル漫画などだと集団戦なのにいつの間にか1対1になっていたり、主人公やメインキャラクターだけが活躍していて、サブキャラクターはただの解説役なんてこともある。だがこの作品では、きちんとその場にいるキャラクターひとりひとりに役割があるのが面白いところ。
エロももちろん魅力のひとつではあるのだけど、仮にエロがなかったらもっと話題になった作品かもしれないと思う。

もし上記で話したような集団戦のバトル展開を見たいのであれば、ぜひマスラオウ戦(ボスエネミーの名前)までは読んで欲しい。
この辺りまで読み進めてもらえればただエロだけでなく、心の描写、世界観の設定、バトル描写のうまさなど、この作品のいろいろな魅力を体感できていることと思う。

不徳のギルド
8

Hなだけではない漫画としての魅力

月刊少年ガンガンで連載中のこの漫画は、かなり性的な表現が含まれる作品です。私はそういった漫画も好きなので漫画アプリで見つけてからは単行本を毎度購入しています。単行本の方が表現の規制が緩いので。作品はベタにファンタジーな世界観で行われる冒険コメディ。主人公は戦いに長けるエース冒険者の青年キクル。仕事漬けの彼が普通の青春を送るために新人の冒険者であるヒロイン達を一流の冒険者に育てるストーリー。そのヒロイン達が全員致命的な欠陥を持っていて討伐対象の魔物に酷いことをされちゃう…というのがお決まり。それでもシンプルに画力が高く女の子だけでなく戦闘シーンなども何が行われているのかが分かりやすい構成力が魅力です。さらに作中のコメディの質が高く、作者のボキャブラリーやキャラの魅せ方には他の少年誌で連載される人気漫画にも劣らない、むしろ対象年齢が一回り上のこの作品でしか感じることが出来ないハイセンスさを感じられると思います。ここまではお色気コメディとしてのこの作品の魅力を語りましたが、この漫画はまだ可能性を秘めていると思っていて、52話では主人公キクルが初めて感情的に人を傷つける描写がありました。これまでどちらかというと実力の割に評価されず他のキャラクターに焦点が当たることが多かったのですが、これまで積んできた彼のキャラクター性を崩すことなく最も魅力的に主人公を立たせる描き方がされています。作者の作品への理解が深いからこそなせるものだと思います。ただエッチで笑えるだけではない、王道な魅力も併せ持つ新しい作品です。