イン・ザ・ハイツ(映画) / In the Heights

イン・ザ・ハイツ(映画) / In the Heightsのレビュー・評価・感想

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イン・ザ・ハイツ(映画) / In the Heights
8

夢と力強さのミュージカル

朝、主人公のウスナビが自らがオーナーとして経営するコンビニへ向かうところから始まる物語。次第に街のみんなが加わっていく、最初の歌とダンスが終わる頃には、もうこの世界に入り込んでしまうハズ。傷つくこともありながらも、それぞれの夢を目指すワシントン・ハイツの住民たちの誰かに感情移入してしまうこと間違いなし。
自分が特に心を動かされたのはニーナです。地元にも親にも期待されていることのプレッシャーはさぞかし大きいことでしょう。お金をかけてもらっているという自覚があるからこそ、期待を裏切るわけにはいかないという真面目なニーナ。それでも、白人のなかでは、どうしても「下」の立場になってしまう現実。狭い世界を飛び出した女の子ならではの悩みに、思わず涙を流してしまいました。
全体的にラテンのノリのことが多いので、ちょっとソリが合わない人もいるかもしれません。もともとミュージカルだったことと、ラテンの世界の物語であることを知ったうえで観るのがギャップが少なくて良いと思います。観る相手を選ばない映画で、ひとりでも、家族とも、友達とも楽しめます。
大きな画面や良い音響のもとで観るのがおすすめの映画です。観終わったあと、歌って踊りたくなること、間違いありません!

イン・ザ・ハイツ(映画) / In the Heights
10

「ミュージカル×ラップ」の化学反応

かねてよりミュージカル映画をドルビーシネマで観たいと思っていたが、満を持してインザハイツを鑑賞。
基本的に私はミュージカル映画があまり好きではない。ジャンルで言えばドラマや伝記系、ストーリーは凝っていればいるほど好きである。それゆえどうしても音楽に時間を割いてしまい、ストーリーの内容が薄まってしまうミュージカル映画を観ることは自ずと少なくなる。
しかしこのインザハイツ、素晴らしかった。この映画で描かれる登場人物たちのエネルギーを分けてもらったからだろうか、鑑賞後は「自分の悩みや不安などちっぽけなものだ」という気持ちになるパワフルな映画であった。
ただ、内容とは別のところにこの映画を楽しめた最大の理由があるのではないかと考える。それは「ミュージカル×ラップ」である。
この映画を観るまで私がミュージカル映画に抱いていた印象は、普通に話していたのにいきなり歌い、踊りだすというものだ。いまいち印象が湧かないという方は「レ・ミゼラブル」などを思い浮かべてもらえればいいだろう。そう、いきなり歌いだすそれである。しかしこの「In the Heights」だがほとんどのミュージカルシーンにラップが用いられている。故に自然体、まさに会話を聞いている感覚である。実際に複数人で歌う楽曲が大半を占めており、リズムも適度に外してくるので歌っているという印象よりもリズミカルに話しているという印象のほうが強いかもしれない。
ラップでまくしたてるような彼らの歌唱には、もはや普通のセリフよりもずっと魂が宿り、その魂は私たちのそれさえも震わす。普段ラップ聞かないのにこんな絶賛するのもなんですけど。