容疑者 室井慎次

容疑者 室井慎次のレビュー・評価・感想

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容疑者 室井慎次
10

ある殺人事件の捜査で逮捕拘留された管理官と事件を追い続ける彼の弁護をする女性新人弁護士の活躍

モンスター高校生が出てくるのだが、社会の構図というか、ある事件の捜査を真剣にして真実を明るみに出そうとすればいろいろな障害や邪魔が入り、検察と弁護人の争いもイデオロギーよりは金が目的だったり、警察内部にも犯罪を防ぎ、犯罪者を検挙し更生させるという本来の機能とは別の部分で物事が動き、権力争いだったり自分の保身だったり青臭い正義を貫くのがいかに大変かよくわかる。主人公の室井が警察を辞めずに警察に留まれるというラストで救いが見られるが、決して勧善懲悪ではない世の中が心ある人達のおかげでダメにならずにちゃんと動いているというのがわかってホッとする一面もあった。この映画は踊る大捜査線のスピンオフの話でもあるが、テーマである現場とそれを管理監督する指揮官の在り方に一石を投じたものになったと思う。警察組織の中でも実際に事件を捜査して証拠を集め、犯罪を立件して犯人を逮捕するのは現場の捜査官であり、指揮官は現場の捜査官が自信を持って正しいことができるように仕組みを変えたり、リーダーシップをとっていかなければならないというあるべき姿に納得する映画でもあった。室井のような指揮官が居場所がなくなるような組織では、存在の意味がない。