私をくいとめて

私をくいとめてのレビュー・評価・感想

私をくいとめて
7

個性を尊重する世界で自分らしくのびのび生きられたらいいな

綿谷りささん原作小説を映画化した作品。
登場人物のキャラクターがみんな個性的で、不器用な人ばかりで愛らしい。
主人公のみつこは、挙動不審な行動や恥ずかしい独り言など、表現の難しい役だと思うけど、のんさんの雰囲気に合っていてハマり役だと思う。
多田くん役の林遣都さんの年下男子らしい初々しさで、二人の距離がだんだん縮まる感じがなんとも微笑ましい。
肩肘張らずにみつこが振る舞う手料理が全部美味しそうで、生活力ある感じが魅力的。
脳内の相談役であるAの声は、中村倫也さんが演じていて、優しい甘い声で自問自答をしてもらえたら寂しくないのは確かだろう。
本来なら、自分自身で傷つけるようなマイナス思考に溺れることもしばしばあるものだが、
常に客観的な視点で答えてくれる自分の脳内相談役がいたら良いのにと心底羨ましい。
ぜひとも身につけたい技能だけど、狂った独り言になるくらいならやっぱりひとりでいいかもしれない。
Aが擬人化したら突然の前野朋哉さんで、笑いながら海に消えていくのはちょっとよくわからなかった…不思議。
30代独身女性の姿が等身大で描かれているおひとり様を満喫するみつこの生き様に、
現代の女性は共感できるところもあり、ほっこりクスッと笑えるところもあり、気張らずに観られるけど、考えさせられるところもある映画。

私をくいとめて
8

すごく共感できた。

面白い映画でした。どこかコントチックで癖が強く、苦手な人もいるかもですが、私は面白かったです。まず、主演ののんさんがすごくかわいくて、おひとりさまを楽しんでる感が強くて面白いし、のんさんの親友役が橋本愛っていうのもあまちゃんの続きみたいで良いです。のん演じるみつ子の気持ちがすごくわかりました。長年、1人で生きてきて、孤独だなって思うところもあるんだけど、人と生きるのはしんどいっていうか、思ってもみない事態に弱い感じが私と一緒でした。彼のことは好きなんだけど、今は違うんだよとか、友達が幸せなのは嬉しいはずなんだけど素直に喜べないよねとか、どれもあるあるでした。そんなみつ子を演じているのんさんもどことなく不器用そうな感じなので、すごく役に合っていたと思います。彼女がそれでも多田くんとはもっと親しくなりたいと思ったりするシーンはどうしようもなく応援したくなりました。また、彼女の心の中にいるアンサーさん、『A』が、思った以上に出てきていて、それも面白かったです。よくある心の中の天使と悪魔とか、人は誰でもイマジナリーフレンドがいるものなのかもしれません。イマジナリーなんだから、本人なんだけど、そこは声を変えてて、ちゃんと会話のように聞こえるのがよかったです。声をしているのが中村倫也さんというのも素敵でした。