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劇場のレビュー・評価・感想

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10

純愛 涙活!

売れない作家と普通の女性の恋愛と受け止めるのが普通なのだとしたら、ありがちだ。現実も立場は様々であれど溢れるほどあるだろう。人生に関わる全てを劇場と捉えて、皆が主人公で主演で人生の劇場は進んでいく。
生み出すことの難しさと葛藤に全身全霊で向かう主人公の男性、そんな彼を支える普通の女性の彼女は相手を思い過ぎて溺れて、壊れていく。当たり前の幸せと裏腹に積み重ねてしまった甘えからくる、歪みが人間味を感じる作品。
主人公は山崎賢人さん。情け無い様が今までに無い山崎賢人さんを観たかったら、必見。松岡茉優さん演じる彼女も、可愛らしく幸せを目指し、適齢期に悩む様子や普通の女性である演技に、自分を重ねる人も多いのではないか。
過ぎる長い時間の中で知り合う人、昔からの友人、仲間、関わる人達からの助言や叱責。寛一郎さん、伊藤沙莉さん、King Gnuの井口理さんなど話題の出演者が脇をかためて、いい味だ。
2人のことは2人にしかわからないが、自分自身を映しやすい内容で、周りの人達の目線から作品を楽しむと角度が変わって更に、楽しめるのではないか。全てが当たり前ではなくて、気が付いた時には遅い。当たり前は無意識だから、罪深い。
取り返しのつかないラストの言い訳や願いは涙腺が崩壊する。ただの恋愛作品では無いから、片方だけにひびくわけではなくて、パートナーを思いながら、一緒に楽しんで思い返してみたり、何が大切で当たり前なんて無いことに気がつく。見つめ直すきっかけをくれる。これぞ純愛。
又吉直樹さんの素晴らしさを感じられるに違いない。原作を読み映画を観たが、同じところで号泣する。涙無くして見られない、涙活にもオススメの作品。

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10

山﨑賢人、松岡茉優の好演が光る、高尚な恋愛映画

劇作家として成功を目指す永田と、どういう訳かその男の事を好きになり生活面、金銭面でも世話をする沙希。
物語の序盤で二人は出会い、一緒に生活をするのだが、恋愛映画に頻出のラブシーン、キスシーン、悪く言うと「話題性の為の低俗なシーン」が無い事がこの作品の質を上げていた。
松岡茉優の演技が好きすぎる。
さりげない日常のセリフが自然で上手く、同じシーンを何度でも観たくなる。
いつも優しく笑っていた沙希が、終盤に感情を露わにし、それらを永田にぶつけるシーンは、心を動かされる。
松岡茉優の演技力の高さが伺える。
一方山﨑賢人演じる永田が夢を語るシーンはかなり感情を揺さぶられる見どころのある場面で、涙する人も多いであろう。
個人的な意見としては永田に沙希を幸せにしてあげて欲しかった。
幸せな気持ち、悲しい気持ち、もどかしい気持ち、恋愛に於いて湧き上がる様々な感情が2時間の中で十分に体験できる。