ひとくず

ひとくずのレビュー・評価・感想

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ひとくず
9

児童虐待への関与の難しさが解る映画

劇団「テンアンツ」を主宰する、監督、主演の上西雄大さんが児童相談所に関わっている児童精神科医に取材して聞いた話から、脚本を書き、製作したものです。
児童虐待を扱った映画で、ミニシアター何か所かで上映された後、再上映の要望が多く寄せられ、各地のミニシアターで最近再び上映されているものです。虐待されている子供とガラの悪い養育者という事で、児童虐待への関与の難しさが解る内容になっていました。
あらすじとしては、母親にネグレクトされ、電気もガスも止められた部屋に閉じ込められている少女・鞠のところに、空き巣の常習犯である金田が入った際に、鞠の置かれた状況を知った金田が、食べ物を差し入れたり、銭湯に連れて行くなどして、関わる事になります。
鞠の学校の担任は、鞠の不登校は知っていても、どのような状況に置かれているかを知らず、金田から知らされますが、ガラの悪い母親と彼氏に暴力を振るわれ追い返されるのみで何もできません。そのため金田が関わることになります。金田自身も子供の頃にホステスをしている母親の彼氏に虐待されていて、その後少年院に入るなど、困難な人生を送ってきた人物なのでした。児童相談所などの行政機関は慢性的な人手不足と、様々な法的な制約があるので、あまり関われないようです。そのため金田が個人として関わる展開になっています。児童虐待の実態をリアルに描いた映画でした。

ひとくず
9

児童虐待に関して描いた映画です。

本作「ひとくず」は、劇団「テンアンツ」を主宰する上西雄大監督が、児童相談所に関わる精神科医に取材したことをきっかけに、監督自ら脚本を書き映画化したものです。犯罪常習者が虐待されている児童に関わる話ですが、児童虐待への学校などの行政が関わることの難しさなども描いた映画になっています。
【あらすじ】電気もガスも止められたマンションで一人外側から鍵を掛けられ過ごしている鞠(小南希良梨)のところに、窃盗のためにカネマサ(上西雄大)が、窓を割り侵入するところから始まります。部屋に入ったカネマサは、鞠が育児放棄され食べ物もなく放置されていることを知り、食べ物や飲み物を持って再び訪れます。カネマサは、知り合いのホステスに鞠を銭湯に連れて行かせますが、体中にタバコで付けられたやけどの跡やアイロンで付けられたやけどの跡があることが解ります。偶然、鞠の小学校の担任と出会いますが、学校に来ないことを非難するのみなので、カネマサは鞠の置かれた状態を話し、担任をなじります。しかし担任が鞠の母の凛(古川藍)に会いに行っても、ガラの悪い彼氏と共に担任に罵声を浴びせ暴力も振るうので、担任は何もできずに帰ることになります。再び鞠のもとを訪ねるカネマサですが、母の凛の彼氏と格闘になったことから、彼氏を殺害することになります。そのためカネマサは凛を連れて遺体を山中に埋めて、3人で暮らし始めるのでした。