カポーティ

カポーティのレビュー・評価・感想

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カポーティ
7

傑作『冷血』が描かれるまでの作家カポーティの苦悩を描き切った伝記映画『カポーティ』

『カポーティ』は2005年の伝記映画で、監督はベネット・ミラーです。この作品はカポーティが1966年のノンフィクション『冷血』を執筆していく渦中で経験したできごを映像化しています。主人公であるカポーティを演じたセイモア・ホフマンがアカデミー賞最優秀男優賞を含めた複数個の賞を受賞しています。映画はジェラルド・クラークの1988年発表の伝記を原作にしています。大部分の撮影は2004年の秋にマニトバで行われ、2005年の9月30日に全米で公開されました。その日は奇しくもカポーティの誕生日でした。
1959年、クラッター一家の死体がカンザスの農場で発見されました。この記事を『ニューヨークタイムズ』で目に留めたトルーマン・カポーティ(フィリップ・セイモア・ホフマン)はこの話題に取り憑かれて『ニューヨーカー』誌の編集者ウィリアム・ショーン(ボブ・バラバン)に電話をかけてカンザスの悲劇をドキュメントしたいと告げます。カポーティはカンザスを旅して幼少時の友人であるネル・ハーパー・リー(キャサリン・キーナー)を同行させます。カポーティはクラッター家の関係者にインタビューをしたのですが、その際にリーを仲介者として使う目論見でした。この事件を担当したFBIカンザス支局の主任捜査官アルヴィン・デュウイ(クリス・クーパー)はカポーティを追い払おうとしますが、デュウイの妻マリー(アミー・ライアン)はカポーティの著作のファンだったので夫を説得してカポーティとリーをディナーに招待しようとします。

カポーティ
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友達だったのかどうか

作家のカポーティが小説にしようと、死刑囚に会い、彼と交流していく話です。カポーティは売れる小説を書きたいっていう野望があって、ペリーに嘘もついてたし、彼を救おうとか、裁判の公平さとかを考えていたわけではないけど、その一方で彼と自分の似た境遇に気が付いて、彼のことを好きになってはいたような気がしました。ペリーはひどい男だし、彼の話す犯行状況を聞いても、そこまで印象は変わらないというか、いや、悪い奴じゃんと思いました。それでも、彼の境遇はかわいそうなところがあるし、本人に聞いてもないとわからないところがあるなと強く感じました。これで、カポーティがペリーと大親友みたいになって、彼を救おうと奮起していたら、すごく嘘くさくなっていたと思います。彼が心のどっかで、ペリーはくそだなと思いつつ、君の友人だよとか言って彼からいろいろ聞きだそうとする姿はすごくリアルでした。そして、彼のことを本気で救おうと思っていなかったにもかかわらず、どこかで彼に自分を重ねていたのか、最終的にとてもショックを受けるところも、ザ・人間って感じです。犯罪小説とかよくありますが、製作はすごく大変だろうなと思います。私はカポーティのことをこの映画を見るまで、よく知りませんでしたが、ティファー二ーで朝食をって聞いたことがあるし、彼のライバルであるネルのアラバマ物語は読んだことあるので、すごく有名な人のことを扱ってるんだなと感じました。こんな有名な人もすごく悩んでてというのがわかると、人間て大変だわと重い気持ちになりました。