巨神兵東京に現わる / Giant God Warrior Appears in Tokyo

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巨神兵東京に現わる / Giant God Warrior Appears in Tokyo
8

破滅と絶望の10分間

エヴァンゲリオンが好きで、ナウシカが好きで、シン・ゴジラも好きだ!という方にこそ見て頂きたい作品です。
「CGを一切使わない」という制約の元に作られた、有名なジブリ作品「風の谷のナウシカ」に登場する巨神兵が、現代の東京に突如現れて世界を焼き尽くすまでの、この世の絶望という絶望を10分間に濃縮した作品です。
登場人物は、東京に住む「私」と、そこを訪ねてくる「弟」のみですが、同士でのドラマはほぼなく、東京が、世界が、全てが焼き尽くされていく様子を、声優の林原めぐみさんが、エヴァンゲリオンの綾波レイのような、淡々としたナレーションで世界の終わりまでを語っていきます。
巨神兵が破壊の限りを尽くすシーンがほとんどで、人間がそのままでる描写は全然ないのですが、劇中のそこかしこに人が住んでいた・生きていた様子が散りばめられており(集合住宅に洗濯物が干されている等)、「これが全て奪われてしまったのか」と、夢に出てきそうなほどの後引く恐ろしさと絶望を感じさせる描写は他の作品ではなかなか見られないものだと思います。
個人的には「シン・ゴジラ」の後日談的なストーリーなのかな、と思いますが、錚々たるメンバーによって制作された濃密な短編ですので、きっと違うんだろうなと思うと同時に、一般人には一生正解の分からない作品にもなっているのかなぁとも感じます。奥の深い作品です。