名探偵コナン劇場場シリーズ第二弾。 ジャンルは殺人ラブコメ・青山剛昌ワールド炸裂!
1998年に公開された、名探偵コナンの劇場版第二作『14番目の標的ーターゲットー』。名前に数字の入っている毛利小五郎とその関連人物達が、トランプになぞらえて順に狙われていく…というストーリーだ。
蘭の母親である妃英理が劇場版に初登場し、小五郎と英理の別居の真相や小五郎が警察を辞めたきっかけについても描かれる。また本作では、目暮警部や白鳥警部補のフルネームが初めて明かされた。
初期の作品ということで、まだメインキャラの登場人数が少なく、各キャラの登場シーンが長いため、セリフの掛け合いもたっぷり楽しめる。特に目暮警部と毛利小五郎のやり取りは最高だ。
中盤以降は、開業前の海洋娯楽施設という外界と隔離された舞台で物語は進み、クライマックスを迎える。この構成も素晴らしい。上映時間100分前後のアニメ映画で探偵ものとなると、登場人物と舞台は広げすぎない方が面白いと思うのは、私だけではないはずだ。そういった点も含め、本作はコナン劇場版の中でも非常に人気が高いのだろう。
そして見どころはやはり、なんといってもクライマックスの青山剛昌原画シーンだろう。原画というだけでなく、あの数秒の演出のすべてが最高すぎて、何度見ても引き込まれる。過去の小五郎の真意を理解した新一が、蘭を救うためにその父と同じ行動を選択する…という背景にもグッとくる。
もうひとつ、本作の主軸となっている毛利小五郎も新一に負けてはいない。終盤シーンで蘭を抱きかかえているところ、犯人に対して最後に放つあのセリフ。普段とのギャップも相まって実にかっこよく映る。
そして最後、ドヤ顔でかっこよく乗り物のドアを閉める小五郎を、あとの展開が分かっている私は毎回にやにやしながら観てしまうのだ。メインターゲットは子どもであろうアニメ映画だが、どんな時に観てもクスッとしたりドキドキしたりして、ホッとできる。
『14番目の標的ーターゲットー』はそんな殺人ラブコメ映画だ。大人にもぜひ見てほしいアニメ映画のひとつである。