武士の一分

武士の一分のレビュー・評価・感想

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武士の一分
9

藩主の毒見役を仕事とする下級武士の誇り高い生きざま

江戸時代の武士は、今のサラリーマンより厳しい制約とルールの中で生きていたんだなあと思う。藩主が食べる食事に毒が入っていたというだけで、それは故意の毒殺の謀でなく事故でも責任者は切腹となってしまう。誇りと責任の上に命があり、それは現在より簡単に捨てたり命をかけたりできた価値観の中で生きていたんだなあと思う。親戚関係、仕事仲間の付き合いなど現在とよく似た人間関係も描かれる。おせっかい、同僚の気遣い、慎ましく暮らそうとする者にとって、いつの時代にも煩わしい人間関係は付きまとう。この時代の武士たちが守ろうとしていたのは、体裁や名目ではなく人間として誇り高く生きる事ではなかったか。盲目となった自分を助けるために他の男に身を任せた妻、しかもそれはだまし討ちのような手段であった。それをどうしても許すことができず、妻のためにも盲目ながら剣をとって、自分の上司を切りに行く。盲目となった自分の体を憐れまれて生きながらえるより、死を覚悟で人間としての誇りを守ろうとする、残りの自分の人生後悔しながら生きるより筋を通して凛としたその生きざまに心打たれるものがあった。損得勘定で生きる人が多いなか、胸のすくような映画であった。

武士の一分
7

キムタクがかっこよかった。

毒味のせいで、盲目になってしまった武士が、命をかけて、妻の名誉のため決闘をする話です。桃井かおりさんとか、笹野高史さんとか、いい役者さんがいっぱい出ていてよかったです。木村拓哉さんは、キムタクといえばキムタクなんだけど、やっぱりかっこいいし、なかなか似合っていました。この頃のキムタクは顔立ちがほんと端正で、横顔とかいいなと思いました。笹野さんとキムタクの関係も良かったし、目が見えなくなってそれでも、決闘しようとするとか、武士の強さが出てました。盲目になってしまって、城から給料がもらえなくなるかもとか、この頃は補償とかが法律で決まっているわけでもないし、大変だったろうなと思います。そんなことで、他の男に身を任せないといけなかった妻はつらかっただろうし、妻の名誉のため、決闘をするなんて、男らしい男だと思いました。盲目の男に負けたことで、死を選ぶのもこの頃の武士ならではの話だなと思いました。盲目の男に負けたことより、嘘ついて女を抱いたことのほうがカッコ悪いと思いますが、そういうことじゃないんですよね。最後はハッピーエンドでよかったです。藤沢周平さんと、山田洋次さんのタッグは最強だなと思いました。