あずみ

『あずみ』とは、1994年14号から2008年23号まで『ビックコミックスペリオール』(小学館)に連載された、小山ゆうによる時代漫画である。コミックスは全48巻、文庫版が全24巻刊行され、第1部が完となった。物語は江戸幕府初期、暗殺集団の一員として育てられたあずみの戦いと苦悩を描いている。本作品の完結後、続編として『AZUMI』が2009年2号から2014年6号まで同雑誌で連載されたが、主人公のあずみは別人として描かれた。『あずみ』は1997年に「第1回文化庁メディア芸術祭」の漫画部門優秀賞、1998年に「第43回小学館漫画賞」の青年一般部門を受賞した。実写映画は2003年5月10日に第1作、2005年3月12日には第2作目が公開され、あずみ役を上戸彩が演じた。舞台は2005年4月と2006年4月に上演され、あずみ役を黒木メイサが演じた。その後も舞台が公演され、2016年11月にあずみ役を川栄李奈、2020年3月に今泉佑唯が演じた。

あずみのレビュー・評価・感想

New Review
あずみ
10

あずみ 可憐なる少女刺客

「あずみ」とは戦国時代末期の日本で刺客として育てられたあずみという名の少女が卓越した剣術で戦を起こそうと企む人物達を暗殺し、泰平の世を守ろうと奮闘する時代劇漫画である。

作者の小山ゆうによる劇画調の非常に高い画力で描かれた本編では魅力的で強い個性を持つキャラクター達が命懸けの駆け引きを行い、時に派手に時に流麗なアクションシーンを披露する。

「あずみ」の最大の魅力はやはり主人公のあずみというキャラクターだ。容姿端麗で最強の剣の腕を持つ少女。一緒に武術を習って育った大好きな男の子を殺すことから彼女の過酷な旅は始まる。民衆を守り世の役に立つために人を殺し続けるあずみは生まれ持った優しい心ゆえに葛藤する。戦を未然に防ぐため、仲間を守るため、剣士としての誇りを持ちながら彼女は戦い続ける。最強の剣士であるあずみが襲いくる恐ろしい敵達に立ち向かう姿に読者は惹きつけられるだろう。
「あずみ」の舞台は戦国時代末期の日本。ゆえに日本古来の大自然や街道、人々の暮らしもたっぷりと描写される。さらに忍者や侍、浪人達との立ち合いなど時代物好きにはたまらない要素も魅力だ。特筆すべきは暗殺シーンの緊張感だ。往年のギャング映画を彷彿とさせるサスペンスとなっている。日本の文化や歴史、自然に興味がある人。あるいはサスペンスやアクションが好きな人も絶対に楽しめるはずだ。

「あずみ」の登場人物は悪人も正義の人間もとてつもない個性を持ち魅力的だ。可憐なあずみがそんな人物達と渡り合っていくこの漫画は圧倒的に面白い。興味のある人にはぜひお勧めしたい。

あずみ
7

映画化もされた!美しい刺客が強敵を倒しまくる漫画

1994年から2008年まで発表された小山ゆうの漫画。上戸彩主演で映画化されたり、舞台化されている作品としても有名。
時は江戸時代初期、幼い頃より”じじ”によって最強の刺客に成るべくして育てられた子どもたちが、南光坊天海の命による「枝打ち」のため数々の標的を仕留めていく物語。その中で唯一の女の子「あずみ」は誰よりも強く、優しく、甘えん坊。対峙する標的と戦っていくにつれ、大切な仲間が命を落としていき、”じじ”の教えと現実との間に葛藤や、一人の女の子としての苦悩も生まれ、読者は読み進めていくことで彼女の成長を一緒に体感することが出来る。
この手の敵を倒してドンドン進んでいく系によくある少年漫画のような、正義!友情!勇気!などの暑苦しさがないのはさすが青年誌漫画。
非常に分かりやすく江戸時代初期・徳川幕府の有様が描かれており、名の知られた武将も数多く登場するため、歴史が苦手な人もある意味で非常に勉強になるはずだ。また、小山ゆうの作画は登場人物一人一人が非常に個性豊かな顔立ちをしており、女性特有の曲線美が大変美しく描かれる。
数多くの標的が登場し、美しい少女「あずみ」が彼らと戦っていく様は、正にそれを楽しめる作品だと言える。