新聞記者

新聞記者

『新聞記者』とは2019年に公開された日本の社会派サスペンス映画である。中日新聞社の記者である望月衣塑子による同名の著書を原案とし、監督は藤井直人が務め、韓国の実力派女優であるシム・ウンギョンと松坂桃李がダブル主演として起用された。若手女性新聞記者とエリート官僚の二人が、官邸が絡んだ大学新設計画にひそむ謎に迫っていく姿を描く。2020年の第43回日本アカデミー賞では主な賞を総なめにした作品である。

新聞記者のレビュー・評価・感想

新聞記者
9

内閣と新聞記者

日本の政治界では、無名の中堅議員や秘書がよく捕まるニュースを頻繁に目にします。
自民党派閥の裏金問題では、自民党安部派の約90人が裏金を受けとったのにもかかわらず、いざ蓋を開けてみると逮捕されたのは全国的には無名の中堅議員だけです。検察は大物政治家を誰も逮捕・起訴せずに捜査を打ち切る可能性が高いとされています。そんな世の中だからこそこの映画を見てほしい。

本作はシム・ウンギョンさん演じるアメリカで育った東都新聞の記者・吉岡と、松坂桃李さん演じる内閣情報調査室、いわゆる内調の官僚・杉原の2人の視点をメインとして描かれています。
吉岡演じるシム・ウンギョンさんは日本語に少し初々しさを感じます。それが日本の文化に染まっていない方からみる日本の政治界のおかしさを際立たせており、私たちも考えざるをえなくなります。
吉岡は新聞記者として仕事を全うしようと、内閣による大学新設計画の真相を究明すべく調査を始めます。

杉原は自身の信念とは裏腹に、現政権に都合の悪いニュースをコントロールする現在の任務との間で葛藤しています。
杉原は外務省時代の尊敬している上司・神崎がビルの屋上から飛び降りてしまった事件を機に、杉原は吉岡と共に大学新設計画の真相を追うこととなります。
大学建設計画と表向きでは公表していましたが、裏では政府のよからぬ思惑が渦巻いていたのでした。

新聞記者
8

昨今の我が国の政治について考えさせられる内容

この映画は、東京新聞の記者である望月衣塑子の著書を原案のヒューマンサスペンス映画で、東都新聞記者、吉岡の役を韓国人女優のシム・ウンギョが、内閣情報調査室のエリート若手官僚杉原の役を、人気俳優の松坂桃李が演じているが、新聞記者の吉岡の元に大学新設計画の秘密の情報がFAXで届き、正義のため、その真相を突き止めていくという展開の中で、吉岡には自身や吉岡の務める東都新聞社へ掛けられる政府からの圧力、杉原も内閣の不正を知り、その正義感で不正を暴こうと吉岡に協力をするが、家族への影響もある、自身の左遷や配置転換などの人事の圧力による恐怖との葛藤などの心理描写が、非常に現実に表現されており、フィクションの作品なのではあるが、過去に新聞やニュース番組などで話題になった事などを彷彿とさせる要素もとても多く、これはノンフィクションの作品なのではないかと思ってしまう程である。
このような国家のダークな部分を突いた、日本映画の作品は今までなかったので、国家や政治に興味がないと言われる、特にこれからの我が国を担う世代である若年層の方に、見て何かを感じてもらい、政治に興味を持つきっかけになってもらいたい、もっと我が国の政治に良いものはYES、良くない者はNOと言える日本人が出てくれる事を願います。
マイナスな点は、シム・ウンギョが日本語のセリフがたどたどしいのと、ストーリーの原案的に仕方ないが、どうしても左寄りな作風になっているので、それを嫌う人には受け入れにくい所はありますが、全体的には良い作品だと思いました。