憎しみ / La Haine

憎しみ / La Haineのレビュー・評価・感想

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憎しみ / La Haine
10

くすぶっている感じがたまらない

モノクロームのおしゃれな映画です。もっと沢山の人が見るべきとてつもない作品です。
どこの国にもいるようなくすぶっている若者たちに焦点が当てられています。
しかし切迫の度合いが日本とは違います。
暴動に巻き込まれて重体になる様な映画が作られた当時(1995年)のフランスの状況を反映しています。
でも目が離せないし何だかおしゃれで楽しいです。
そこがすごい。底の知れない何かが横たわっている映画なのに、未来がない事がそうさせるのかカラッとした明るさも感じます。
最後の一瞬までだらだらと不穏な雰囲気が続きます。
音楽も素晴らしいです。特にフレンチラップは注意して聴くべき。発語される音の感じが不穏さに拍車をかけます。
マチュー・カソビッツも出演しています。
この映画のあとメジャーになって行きましたがこの頃から良い存在感をしています。
一筋縄で行かない雰囲気があります。
この作品はフランスの、現在も解決されない問題を扱っています。
おしゃれになりにくいような深刻な問題をスタイリッシュな映画にしたところがいいです。
こういった問題はもうフランスだけの問題ではありませんが「憎しみ」ほど上手く映画化される事はないかも知れません。
単に深刻なだけでなく、単におしゃれなだけでもなく、たんに楽しいだけでない本当にすごい映画です。