こんなファンタジー見たことない
ファンタジーのイメージを覆す強烈な作品。この映画の本質に気づくのか、気づかない方が良いのか。不思議という言葉では表せないほどの奇妙な映像体験。過去に培ってきたものが通用しない。すべてが新しく、頭を殴られるような感覚に襲われます。何故なら、トロールと人間が共存しているという禁断の世界を覗くことになるから。現実に潜むファンタジー。自分の存在価値を認めるには、どう生きるのが正解かを現実と異界との境界線で葛藤する姿は想像すら許されないほど苦しいものでしょう。崩壊させられる倫理観。人によっては嫌悪感を抱くかもしれない。しかし、ルッキズムやマイノリティなど、社会的に問題視されることを遠回しに伝えてくれている。容姿で生きづらさを抱えている人が存在しているのは「映画の世界」じゃない。傍観している側がどう捉えるかを試されていると思っても良いだろう。気持ち悪いと拒絶反応を示すのか、可哀想だと同情して見下すのか。この言葉は幻想に値するだろうが、「自分らしさを大事」にしたいのはトロールだろうが人間だろうが同じ。アイデンティティを解放する権利はどんな生物にもあるのだ。少し生きづらさを抱えている人こそ、心に刺さるものがあると思う。弱きものでも大きく呼吸を。