男たちの大和/YAMATO

男たちの大和/YAMATOのレビュー・評価・感想

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男たちの大和/YAMATO
2

全般的に安っぽいドラマ

戦艦大和の等身大セットを使って撮影した本格的な戦争映画です。
ただ、戦艦大和自体が実際の太平洋戦争で大きな活躍がないまま最終的に沖縄特攻の途中で撃沈されたという結末なので、戦闘シーンよりも艦内の人間ドラマが中心になっています。
今作の出来はそれが足かせになってしまっている感が否めません。
反町隆史、中村獅童、松山ケンイチ、鈴木京香、仲代達也とそうそうたる俳優陣が揃っていますが、それらの俳優陣の見た目のかっこよさ、性格イメージに頼りすぎていて、描かれるエピソードが単発で感情移入にまで到達しません。
上長である兵曹の内田役の中村獅童が軍の上下関係に対して反骨なキャラというのはある程度紹介されていますが、彼がそこまで部下から崇拝されるに至った経緯はやや描写不足です。
部下の神尾役の松山ケンイチも無表情なので語り部役には役不足です。
戦艦大和のセットも主人公たちの持ち場の対空砲のあたりだけなのでちょっと期待外れでそれ以外の部分はいかにもCGというか、金属の重みのないアニメーションのような陳腐なもので巨大戦艦の重厚感は感じられませんでした。
最初に現代のシーンがあるので、主要キャラが戦死するのか、戦後生き残ってどんな風になるのかまでなぜか本編でネタバレされていてそれをなぞるだけのスリルない物語です。
いちばんいただけないのは原爆投下された「広島」という単語が単なる死亡フラグとして扱われていることです。
真面目に見たい人にはおすすめできない作品です。