少年ハリウッド

少年ハリウッドのレビュー・評価・感想

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少年ハリウッド
9

知らないうちに応援したくなるアイドル

少年ハリウッドは、共感性羞恥に訴えてくるアニメです。1話から、恥ずかしいことを恥ずかしそうにすることがどんなに恥ずかしいことか、というのをありありと見せてくるのです。わたしは共感性羞恥を持っている側の人間なので1話からとてもつらかったのですが、それでも視聴を続けたのは、ときおり挟まれるモノローグや、キャラクターの言葉に引っかかるものを感じたからです。
2話、3話と見ていくうちに、ちょっと顔がいいだけの5人の少年が、自分と向き合いながら少しずつ進んでいく姿に知らず惹きこまれていきます。
舞台裏を一切描かない、1話丸々舞台回の5話、まるで音楽番組を見ているような構成の10話、共感性羞恥最大の壁ともいえる7話。しかし、それらを見ていくうちに、知らないうちに少年ハリウッドというグループをこころの中で応援したくなっている自分に気づくのです。
アイドルでありながら、デビュー前の彼らが表立って歌って踊るのは、テレビ出演をした一回きりです。クリスマスライブの行われる最終回ですら、これからアイドルとして生まれていくという、ステージに立つ寸前で物語は終わります。
視聴者に寄り添わないつくりの物語だったはずのものに、最後は気持ちが寄り添ってしまう、そんなアニメです。