トレイシー・ソーン / Tracey Thorn

トレイシー・ソーン / Tracey Thornのレビュー・評価・感想

トレイシー・ソーン / Tracey Thorn
7

情緒を湛えた歌声。音楽ファンに根強い人気

少しハスキーで、哀愁と温かみがある歌声に、音楽ファンからの支持が高いトレイシー・ソーン。
UKのシンガーソングライターであり、Everything But The Girlというデュオの活動も人気です。

1981年のアルバム『A Distant Shore』はギターとボーカルだけのシンプルな作品。
海辺で弾き語りしているような、自分の部屋で一人で演奏しているような、とてもパーソナルな印象があります。
この頃はガールズパンクバンドでの活動をしていたためか、歌唱は荒削りなのですが、そこに飾り気のないインディーな魅力があります。

その後、男性シンガーソングライターのベン・ワットと結成したEverything But The Girlが成功し、トレイシー・ソーンの表現力は情緒を湛えたものとなりました。
デュオの演奏ジャンルも時代とともに進化を遂げていきます。

1994年には、UKのエレクトロニカのユニット、マッシブ・アタックのアルバム『Protection』に客演として呼ばれ、収録したうちの一曲のシングル「Protection」が大ヒットします。
乾いたブレイクビーツの上に乗るトレイシー・ソーンの歌声に感動した人は多く、不滅の傑作となりました。

また、トレイシー・ソーンの楽曲にもエレクトロニカやダンスミュージックの要素が含まれるようになり、その方面との相性良さが確認できます。
しかし全面的に傾倒してしまうことはなく、オルタナティブロックのアルバムを出すなどして、ジャンルにこだわらず自由に制作しているようです。