手紙(東野圭吾)

手紙(東野圭吾)

『手紙』(てがみ)とは、東野圭吾による長編小説である。第129回直木賞候補作に選出された。犯罪加害者の親族という視点から、その心情の変化や社会的孤立、葛藤を丹念に描いた作品であり、小説の刊行以降、映画、テレビドラマ、舞台(演劇・ミュージカル・朗読劇)など多角的なメディアミックスが展開されている。
物語は、「毎日新聞」日曜版にて2001年7月から2002年10月まで連載され、2003年に毎日新聞社より単行本が刊行された。2006年10月には文春文庫版が刊行され、1か月で100万部以上を売り上げるなど異例のヒットを記録した。
執筆にあたり著者である東野は、罪を犯した本人だけでなく社会に残された家族の苦悩に着目し、実態を把握するため法務省への取材を行った。受刑者からの手紙が検閲により平穏で無難な内容に限られるという実情を知り、獄中から届く呑気な手紙が外で生きる弟を追い詰めていくという構造を発案した。また、作中では単純な道徳的結論を示すのではなく、社会の厳しい現実を描くことに軸が置かれている。
ストーリーは、弟の大学進学費用を得るため強盗殺人を犯してしまった兄・武島剛志と、その弟・直貴の物語である。高校生の直貴のもとに服役中の兄から定期的に手紙が届くようになるが、世間からの「加害者家族」という偏見や差別により、進学、就職、恋愛、結婚といった人生の節目ごとに苦難に直面する。直貴は葛藤の末に兄との絶縁を決意し、家族を守るために過去と向き合っていく。
2006年には主演・山田孝之で映画化され、2018年にはテレビ東京系にて亀梨和也主演でドラマスペシャルとして放送された。舞台化も精力的に行われており、劇団によるストレートプレイのほか、複数回にわたりミュージカルや朗読劇として上演されている。

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