ES -Eternal Sabbath- / エス エターナル サバス

ES -Eternal Sabbath- / エス エターナル サバスのレビュー・評価・感想

ES -Eternal Sabbath- / エス エターナル サバス
8

人造人間に立ち向かうSF、サイコサスペンス。

この作品以前は、恋愛モノの少女コミックを描いてきた作者の惣領冬実が、青年マンガでサイコサスペンスに挑戦した意欲作。

このマンガの題材となっているのは、遺伝子操作で誕生させられた人造人間。
彼らは普通の人間の意識の中に入り込んだり、自由に操作することができます。
そんな彼らにとって、世間の人々に紛れこんで、何食わぬ顔をして暮らすのはお手の物。
しかし、ごく稀に意識にコンタクトすることができず、操作できない人間も存在するのでしたーー。

医科大学で脳科学を研究している研究員、九條未祢もその一人。
人造人間が操作できないタイプの女性でした。
医大の学生に紛れこみ、秋葉亮介と名のる人物に、未袮は違和感を抱き追及。
彼がシュロと名づけられた人造人間だと発覚します。

シュロが人間との共存を望むのに対して、彼のクローンとして作られたイザクは人間を脅かす存在として登場します。
ストーリーの中では立ち向かうべき敵として描かれ、イザクとの対決が展開の軸に。
その戦いの裏側では、人間というものの、心理的、哲学的な側面が描写されていて、考えさせられる場面も多いのが特徴です。

心の中のイメージの世界を描いたシーンは精巧で美しく、SFのような世界観が楽しめる作品となっています。