明日、君がいない

明日、君がいないのレビュー・評価・感想

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明日、君がいない
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学校で一番悩んでいる子とは

オーストラリアの映画で、当時19歳だったムラーリ・K・タルリ監督の衝撃作です。
ある学校で数人の生徒を取り上げ、インタビューで思春期の悩みや将来の夢等を語ってもらうシーンを時々挟みながら、その生徒達の一日の生活にズームアップし、彼らが学校でどの様なカースト位置にいるか、等を明らかにしていきます。
そして一日の授業が終わる時、一人の生徒が学内で死を遂げます。観客は冒頭でそれを知ります。果たして一番悩み苦しみ学校生活を送っていた生徒は誰なのか、観客はそれを推理しながら、彼らのインタビューや学校生活を観ながらその生徒を当てるような、非常に変わった作りの作品となっています。
彼らは非常に個性的です。兄と差別された教育を受ける妹、秘密を抱えた優等生のその兄、勉強嫌いだけど慕われるスポーツマン、その彼と結婚したい美女、男が好きで薬に溺れる少年、障害者でいじめを受ける転校生、誰にでも優しく皆を心配する少女、が主な登場人物です。
彼らの誰もが物語が進む内に悩みを深め、救いようの無い所まで追い詰められます。正直誰が亡くなってもおかしくないのです。この見せ方が凄い監督は上手いのです。
結局死を選んだ生徒の死ぬ理由に私達は深く考えさせられると思います。私はその子を予測出来ませんでした。
日本の学校でも生徒の自殺が多いですが、本当に人間が苦しむ原因は世界共通なんだな、と感じました。
とにかく凄い、一度観た方が良い作品です。