良質なR&B、HIP HOPソウル
90年代のアメリカでは、早熟なティーンのR&Bアーティストがブームのようになっていました。
アリーヤを筆頭に、ブランディー、デスティニーズ・チャイルド、アッシャーなど、才能あるティーンが活躍。
その中で、一際硬派な魅力を放っていたのがモニカです。
95年にアルバム『Miss Thang』でデビューしたときは15歳。
幼い頃から教会で歌ってきたモニカは高度な歌唱力を持ち、正統派なR&B、HIP HOPソウルを聴かせます。
少しハスキーなその声には温かみと包容力があり、安定感抜群。
クールな風貌も際立っています。
デビュー作は渋いHIP HOPソウルでまとめられていましたが、HIP HOP、R&Bがメインストリームの音楽となり、ブームが過熱するようになるにつれ、モニカの音楽もドラマチックに変化していきます。
どちらかと言えば、マニッシュな魅力を持ち、ユニセックスなストリートの少女といった雰囲気でしたが、女性らしいグラマラスな艶を感じさせるようになり、美しいメロディーを聴かせるようになっていきました。
その中で注目されたのは、同世代の女性R&Bシンガーのブランディーとデュエットした1998年の『The Boy Is Mine』。
この天才ティーン二人の共演では美しいハーモニーが絶品で、グラミー賞を受賞しています。
一人の男性を取り合うという歌詞の内容だったためか、二人の不仲説も囁かれていましたが、メディアというものは、ライバル関係を仕立て上げたい傾向にあるので、その真偽はわかりません。
しかし、2012年になってまた二人はデュエット曲『It All Belongs to Me』をリリースしていて、その関係は良好であることがうかがえます。
良質なR&Bをリリースし続ける貴重な存在であるモニカ。
一貫したスタンスは信頼できるものであり、安心して聴くことができます。