Aphex Twin / エイフェックス・ツイン

Aphex Twin / エイフェックス・ツインのレビュー・評価・感想

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Aphex Twin / エイフェックス・ツイン
10

テクノ・エレクトロニカの天才

誰もが天才と認める、テクノ、エレクトロニカ、アンビエントのミュージシャン。
リチャード・D ・ジェームスというイギリスの男性のソロ活動で、彼には他にもいくつかのアーティスト名があります。リリースする作品によって名前を使い分けていますが、メインとなっているのはエイフェックス・ツインです。

非常に多作なことで知られ、マニアックなまでの音楽への熱意を持っていると思われますが、曲のトーンはあくまでクール。しかし、聴いていると落ち着きと高揚感を感じる不思議さがあります。

1stアルバムの『Selected Ambient Works 85-92』は美しく幻想的な世界観が表現された素晴らしいものでしたが、彼にはかなりアグレッシブなビートを好む趣向もあり、その後はアンビエントとハードコアを行ったり来たりします。

その中で度肝を抜いたのは『Come To Daddy』。音にしてもミュージックビデオにしても、人によってはトラウマ級のホラーとなりそうな曲です。そしてこの頃はアルバムのジャケットに自身の変顔をプリントすることが多く、人々に強烈な印象を与えていました。

自分の顔を素材にして奇怪なアートワークを作っていたのは、ストレスからくるものもあったのかもしれません。
結婚して家族を持つようになってからはそれが落ち着いたのか、長いスパンを経て『Syro』をリリース。非常にまとまりが良く、バランスが取られています。最後の曲は妻に捧げられたものだと噂されており、家族思いな一面が伺えます。

その後も安定した良作を生み出し続け、ライブも好演。
彼にとって音楽活動というのは自分自身と切り離せないものであり、好きだからやっているというのを超えているように思います。
おそらく誰よりも音楽に近い人間なのではないでしょうか?