モブ子の恋

モブ子の恋

『モブ子の恋』とは、田村茜による漫画。『月刊コミックゼノン』(ノース・スターズ・ピクチャーズ)にて、2016年11月号に読切掲載後、2017年5月号から連載されている日常系恋愛漫画作品。
広島県を舞台に物語の”脇役”として、過ごしてきた主人公・田中信子の初めての恋を描く作品。大学生ふたりの片思いから、両思い、そして遠距離恋愛を経て恋を育むふたりの、もどかしくも応援したくなるような恋愛ストーリーで、2023年5月に実写映画化が発表されている。

モブ子の恋のレビュー・評価・感想

モブ子の恋
10

ピュアすぎる2人の恋の行方に悶絶

この作品を一言で表すなら「ピュア」。これにつきます。
今までに恋愛経験がない二人が初めて恋に一生懸命になって自分を変えようと勇気を出す姿に、見てるこちらも勇気をもらえること間違いなしです。特に、信子がデートに向けておしゃれになろうとするシーンは女の子ならではのかわいらしさが前面に出てて、自分も頑張ろうという気持ちになりました。
また、活発ではなくコミュニケーション能力が高くない二人から紡がれる言葉がまっすぐで純粋で、応援したくなります。それでいて、決めるところは決めてしまうので、読んでいてニヤニヤがとまりません!
あまりないからこそ、貴重なイチャイチャシーンが来ると発狂してしまいます。こんなにも相手を大切に思える二人が素晴らしいなあ、羨ましいなあと、尊くてたまりません。すぐにイチャイチャする漫画ももちろんいいですが、なかなか積極的にならず、お互いを大事にしている二人の関係性も素敵だと思いました。
心を浄化されたい人にはお勧めです。
また、この作品では悪い人が出てこないのも魅力的です。通常の少女漫画で起こりがちな三角関係やすれ違いがほとんど全く起こらないため、読んでいてもやもや、イライラしないんです。ただただ二人や周囲のやり取りに幸せな気持ちになれる作品です。

モブ子の恋
8

地味ながら丁寧に描かれる恋に共感

モブキャラ、つまり脇役として生きてきた地味な女の子・田中さんの言動を見ていると、まるで自分のことを見ているようで癒されます。そんな田中さんですが、同じアルバイト先の入江くんに恋をすることになり、慣れないことをしたりしながら、少しずつ距離が縮まっていく心温まるストーリーです。

漫画の中の恋愛は、現実では起こり得ないような展開があるのが常ですが、この作品では、スーパーでのアルバイトを舞台にしたものすごく現実的な恋模様が描かれています。もしかしたら、現実の世界よりも地味かもしれません。だけれど二人のやりとりは、ひとつひとつが意味のある大切なものとして描かれていて、恋をすることや、好きな人と距離を縮めていくことの素晴らしさが感じとれます。

田中さんは消極的でネガティヴ。しかしそんな田中さんを否定することなく進んでいくストーリーは、読んでいる人にとって、それでいいんだと安心させてくれるものを持っていると思います。また、バイト仲間には明るく派手目な登場人物がいて、もしかしたら嫌がらせされる展開では?と心配になりましたが、全くそんなことはなく、普通に田中さんと入江くんを応援してくれます。そんなところもこの漫画のほっこりとした良いところです。

女子の田中さん目線からのストーリーだけではなく、同じエピソードを男子の入江くん目線で描かれる回もあるので、二人ともの心情を知ることができるのも面白いです。