地味ながら丁寧に描かれる恋に共感
モブキャラ、つまり脇役として生きてきた地味な女の子・田中さんの言動を見ていると、まるで自分のことを見ているようで癒されます。そんな田中さんですが、同じアルバイト先の入江くんに恋をすることになり、慣れないことをしたりしながら、少しずつ距離が縮まっていく心温まるストーリーです。
漫画の中の恋愛は、現実では起こり得ないような展開があるのが常ですが、この作品では、スーパーでのアルバイトを舞台にしたものすごく現実的な恋模様が描かれています。もしかしたら、現実の世界よりも地味かもしれません。だけれど二人のやりとりは、ひとつひとつが意味のある大切なものとして描かれていて、恋をすることや、好きな人と距離を縮めていくことの素晴らしさが感じとれます。
田中さんは消極的でネガティヴ。しかしそんな田中さんを否定することなく進んでいくストーリーは、読んでいる人にとって、それでいいんだと安心させてくれるものを持っていると思います。また、バイト仲間には明るく派手目な登場人物がいて、もしかしたら嫌がらせされる展開では?と心配になりましたが、全くそんなことはなく、普通に田中さんと入江くんを応援してくれます。そんなところもこの漫画のほっこりとした良いところです。
女子の田中さん目線からのストーリーだけではなく、同じエピソードを男子の入江くん目線で描かれる回もあるので、二人ともの心情を知ることができるのも面白いです。