ウィッシュルーム 天使の記憶

ウィッシュルーム 天使の記憶のレビュー・評価・感想

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ウィッシュルーム 天使の記憶
8

ウィッシュルーム、面白い

「DSで、ミステリー」というキャッチコピーで売り出されている『ウィッシュルーム 天使の記憶』はそのキャッチコピー通り、ニンテンドーDSの機能をフル扱ったアドベンチャーゲームです。
物語は1979年のアメリカにあるホテルを舞台に元刑事のセールスマンを務めている主人公が3年前に失踪した親友の行方を追いつつ、ホテルの宿泊客や従業員の秘密を探っていくというものです。
主人公は「願いが叶う部屋」と言われる部屋に泊まり、そこで一夜を明かす事になるのですが、雇い主からの依頼やお節介なところが原因で様々なキャラクターの胸の内を聞いていく事になります。
主人公を務めるのは33歳のおじさんですが、とても人間味のあるキャラクターでクールのように見えて一つの事に夢中になる子供っぽさがあったり、ちょっと失敗すると引きこもる繊細さがあったりと見ていて嫌にならないキャラクターでとても好感を持てました。
ちなみに彼が引きこもるような事になったらゲームオーバーですので、ご注意を。
また主人公に負けないぐらいに個性豊かなキャラクターが脇を固めています。頑固なホテルのマスター、前科持ちの従業員、親友の妹と同名の話せない少女などのキャラクターが主人公と対面します。
彼らの抱えている秘密は中々重たいものがあり、それを受け止める頃には各々の魅力に心を惹かれました。
ストーリーの不満点としてはホテルで起きた出来事は全て1日の中で行われている為、現実的に考えると非常に駆け足で進行する事になりますが、そこはゲームとして割り切った方が良いでしょう。
操作システムはDS本体を縦に持ち、2画面形式で主にタッチスクリーンの方で操作して、ゲームを進行させます。ただ主人公の移動速度が遅いので、せっかちな人イライラすると思います。
謎解き要素はタッチスクリーンで解くだけではなくマイクに息を吹き込んだり、DS本体を開閉したりして解いていく為、キャッチコピーに恥じないシステムとなっていて面白いと思いました。
またゲームの進行の要である会話画面は2画面故に1画面ずつキャラクターがいて、対話していきます。
会話パートでは時々選択肢が出てきますが、選択肢を誤るとホテルを追い出されたり、追及に失敗し引きこもってしまったりしてゲームオーバーになるので注意が必要です。
ただ突っ込むだけ突っ込んでいけば、意外と解決する事が多い為、自然な会話に近いとは言い難いと思います。
それでも会話パートにおけるキャラクターの動きは非常に細やかな故に動きだけでもとても楽しめる為、気にはならないでしょう。
音楽面ではサウンドトラックが発売されていない事が悔やまれるぐらい非常に高い水準の曲ばかりです。少しルーズな気分を表した曲、神秘的なピアノ曲、緊迫を表現した曲など場面ごとやキャラクターごとに曲が上手い具合にマッチしていて作品独特の雰囲気を醸し出していて、とても好きです。
ビジュアルの方ですが、会話パートのところで触れた通り、キャラクターの表現が非常に細やかで見ていて飽きがありません。
また各イベントごとに登場するお酒や食べ物、絵画などのディティールも非常に凝っていて、今すぐにでもそのホテルに泊まりに行きたいと思わせるには十分でした。
全体的な感想としては買ってプレイして損はないと思うぐらい物語やビジュアル、音楽のクオリティが高いと思います。
ただ操作面ではタッチスクリーンで操作するにあたっての誤操作や手間があるので、その点はどうしても不満があります。
またこのゲームには真エンディングや2週目要素があるのですが、1週目で真エンディングを達する条件が初見プレイだと厳しいです。
それでも2週目の条件は緩い方ですので、真エンディングを目指す方は2週目までプレイしてみてください。