海よりもまだ深く

海よりもまだ深くのレビュー・評価・感想

New Review
海よりもまだ深く
8

元家族感が伝わってくる

阿部寛の演じる良多がまぎれもないダメ男でした。いやいや養育費払えよって思うし、元鞘にもどるわけなんかないのに、まあいいじゃんみたいな感じが嫌でした。お母さんもね、元夫婦どっちもに泊まってけばとか、子どももいるし、別れても家族でしょって思ってるんだなってのが伝わってきました。樹木希林演じるお母さんはどこか達観しているし、きっと元嫁も彼女を嫌いではないのでしょう。でも、わかってないなって感じがしました。なんだかんだいって、母親はは母親で息子がかわいいのかもしれません。小説もかけず、うだうだしているのを怒ってはみても、でも大事なんでしょうね。
小林聡美さん演じる良多の姉もいい味を出していて、ほんとにどこにでもいる元家族って感じがひしひしと伝わってきます。良多はダメなやつっていったけど、そうなっちゃったのにもいろいろ事情があるでしょうし、彼が今までのこととか後悔したり、息子のことを思ったりしているところは同情してしまいます。両親の間に挟まれる子どももかわいそうでしたし、なんだか、人って悪い面もあるし、いい面もあるということを教えてくれているようです。すごく、この監督さんらしい人物の描き方だなあと思いました。

海よりもまだ深く
7

ダメな男

是枝監督の作品です。
売れない小説家の男性の年老いた母親や別れた妻、子供との付き合い方を描いた作品です。
主人公は阿部寛で、フラフラしているダメおやじをうまく演じてました。ああ、こういう家族いるよなと思える日常を描いていて、別に大きな出来事も起きず、たんたんと話が進むという感じです。まあ、阿部寛だからなんか憎めない感じが出ているけど、よく考えると、別れた妻を自分の母親のとこに泊まらせたり、彼女の新しい彼氏のこと聞いたり膝を触ったり、気持ちの悪い男だなと思いました。たぶん、是枝監督は男の弱さというか、こういうクズいるよね、切ないね、ということを描きたかったのだと思います。たしかに、阿部寛の立場に立つと、悲しいし切ないなと思いますが、元妻の立場で考えると嫌な男だしだから別れたんやと思いました。
お母さんは樹木希林が演じていて、可愛らしいお婆さんでした。息子から金目になりそうな掛け軸のことを聞かれたりしても飄々ともう無いよと言ったり、ドラ息子の扱いに慣れている感じで、面白かったです。やはり、樹木希林さんてすてきな役者さんだなと思いました。いるだけで存在感があって、場が引き締まる感じです。もっと彼女の演技が見たかったなと思います。