不夜城

不夜城のレビュー・評価・感想

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不夜城
9

眠らない街、歌舞伎町に暗躍する男たち

第18回吉川英治文学新人賞を受賞した馳星周のハードボイルド小説を映画化した作品。
眠らない街「歌舞伎町」で眠れないスリルが全てを覆う快感を皮膚から感じました。
金城武演じる台湾と日本のハーフ健一が謎の女「夏美」と過ごした3日間が色濃く、今でも心に滞在しています。
中国マフィアの出身地による派閥争いに振り回されながら無理難題な裏切り者を探して、最後は助けを乞うものさえ手にかける健一の残酷さが痺れるほどかっこよかったです。
靖国通りから見えるEPSONの看板やプロント看板の色が昔のもの等、90年代の新宿を感じれて過去に浸れるシーンもありました。
この作品で共演した椎名桔平と山本未来が後に結婚。
山本未来の妖艶さと椎名桔平の追い込まれた男の緊迫感は見物です。
命からがら無理強いされた人探しをしても自分も殺されるかもしれない絶望が金城武にマッチしていて、男なら憧れるワイルドさがプンプンに薫る映像。
歌舞伎町に巣くう違法滞在の中国人達が裏街道を恩と金で生き抜く姿が眠らない街に絡みついて観るものを引き込みます。
エンディング曲のB'zの『The Wild Wind』は乾いた悲しみを紡いでラストまで痺れるかっこよさでした。