古き良きイギリスのコメディ映画!
1955年公開のイギリスの犯罪コメディ映画です。主演はスター・ウォーズのオビワンで有名なアレック・ギネス、ピンクパンサーシリーズのクルーゾー警部で有名なピーター・セラーズです。夫を亡くした老婦人が一人暮らしを寂しく感じて部屋貸しを募集したところ、ある紳士(アレック・ギネス)が申し込んできました。自らを教授と名乗る紳士は見た目からして怪しい人物、しかし人の良い老婦人は疑うことなくそのまま部屋を貸すことにします。紳士は音楽仲間と共に演奏の練習が出来る部屋を探していたのでした。後日、紳士とその仲間達が老婦人の家にやってきますが、彼らの正体は何と強盗団!部屋を借りた真の目的は現金強奪の作戦会議室にするためでした。そこから強盗団と人の良い老婦人の奇妙でちぐはぐな日々が始まります。強盗団が出てくるので物騒な感じがするかもしれませんが、あくまでもコメディです。彼らは犯罪者でありながらコミカルで老婦人に振り回される役回りでどこか憎めません。むしろ善良で少しズレたところのある老婦人に振り回されて次第に可哀想になってきます。(重要な話し合いの最中に老婦人が度々お茶を持ってくるので中断させられる、彼女の昔話を聞かされる、彼女の飼っているオウムの世話の手伝いをさせられるetc)それでも何とか現金強奪に成功するのですが、やがて婦人に全てが漏れてしまい、強盗団は彼女を口封じのために消そうとします…が。ここからがこの映画の最大の見せ場!この映画はコメディです。とは言ってもアメリカ映画のように明るく賑やかなものではなく、そこはイギリスの皮肉が混じったブラックでビターなコメディ。老婦人に振り回され尽くした強盗団がどういう結末を迎えるか、それは映画を見てのお楽しみです!全体的な雰囲気としては古き良きイギリスのコメディといった感じです。老婦人はもちろんのこと、強盗団もどこかイギリス特有の上品でおしゃれな空気をまとっています。この映画のシンボル音楽としてボッケリーニのメヌエットがあり、これがまたノーブルな空気を添えています。古いイギリス映画、特にブラックコメディが好きな人には絶対おすすめの作品です。