ニンジャバットマン

ニンジャバットマンのレビュー・評価・感想

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ニンジャバットマン
7

戦国時代の和風バットマンを堪能できる作品?

今回私が紹介する映画は「ニンジャバットマン」です。今作は人気アメコミ出版社の「DCコミックス」が連載している「バットマン」に登場するバットマンと様々なサイドキックや悪役のヴィラン達が劇中に登場するアニメ映画で、日本では2018年6月15日に公開。
今作の舞台はバットマン達がとある事故から戦国時代の日本にタイムスリップし、そこでも悪行を重ねるバットマンのヴィラン達を見てバットマンらは日本でも戦いに身を投じて行きます。戦国時代ならではの各登場人物の和風コスチュームも必見です。
今作の物語はゴッサムシティのアーカムアサイラムにて、超人的な知能指数を持つヴィランのゴリラ・グロッドが開発した装置を巡りバットマン&キャットウーマンとゴリラ・グロッドの戦いが繰り広げられていました。その戦いの中で装置が暴走してしまいバットマンチームとヴィラン達が吸い込まれるように転移に巻き込まれてしまいます。
バットマンが気が付くとそこは日本の江戸の町のような所にいました。困惑しているバットマンの所に、ジョーカーの仮面を被った御用の姿の人物たちがバットマンを発見して捕まえようとします。戸惑いつつも逃走しようとする彼はグラップルガンで高所への撤退を試みますが、昔の日本の街並みには高所が全く無い為、そのまま煙幕に紛れジョーカー御用たちから逃走します。装備による情報探索が得られないバットマンは、情報を得るべく一番怪しく大きな建物の城へと向かいます。城に侵入すると、そこには宿敵ジョーカーがバットマンの前に立ちふさがり戦闘となり、更にジョーカー以外に仮面を被った兵士も襲い掛かり、多勢に無勢であったためバットマンは逃走します。
そんな逃走中の彼の前にキャットウーマンことセリーナ・カイルが現れ、あの装置の暴発の後、ヴィラン達はこの戦国時代の日本に2年早くタイムスリップしており、バットマンが居なかった日本をポイズン・アイビー、デスストローク、ペンギン、トゥーフェイス、そしてジョーカーがそれぞれ国を支配し、またハーレイ・クインはジョーカーの側近として仕えている事が分かり、現代に戻る装置が城にあることを知るのでした。バットマンの恰好では目立つため、宣教師姿でセリーナと情報収集を行い休憩で茶屋に寄った二人は、そこで執事のアルフレッドと合流します。アルフレッドはブルースがいつかこの時代に来ると信じてバットモービルやバットウイングなどの装備を隠し持っていました。ジョーカーを倒しヴィラン共々元の時代に帰ると決意したバットマンはこの装備を駆使して「アーカム城」に乗り込みジョーカーを倒そうとしますが、機械化された城の攻撃と力士姿のベインの攻撃の前に返り討ちに遭います。止めを刺される寸前で、忍者集団の蝙蝠衆と活動を共にするナイトウィングらのサイドキック達に救われて、一旦彼らは飛弾に身を寄せます。
その飛騨でバットマンは事件の主犯ゴリラ・グロッドから招待状を受けとります。ゴリラはバットマンに共闘を申し出、バットマンはそれを承諾します。そしてジョーカーを呼び寄せる為、ゴリラ・グロッドを囮としバットマン達は船の上で戦いを挑み、ジョーカーとハーレイ・クインを捉えるも、本性を現したゴリラ・グロッドと残りのヴィラン達の攻撃、更に現代に帰還を目的としたキャットウーマンの裏切りによりバットマン達は敗北し、ジョーカーの自爆に巻き込まれます。重傷より目を覚ましたバットマンは、最新装備の無い事の焦りや失敗等、自分を見つめなおし再起を図るべく力・武器・食料等の戦力を蓄えます。ヴィラン達もそれぞれ時空転移装置獲得のため城を完成させます。それを見たゴリラ・グロッドはヴィラン達へ富士山麓・地獄が原での決戦を布告します。それを好機と見たバットマン達も決戦に合わせて動き出し、最終決戦に挑みます。
ゴリラ・グロッドが勝負を決めるべくヴィラン達を洗脳し、所有している城を合体させて時空転移装置を起動させようとした瞬間、ジョーカーの横やりによりキャットウーマン共々倒されます。そして、「キング・ジョーカー」という大型ロボットを完成させ、バットマン達に襲い掛かります。危機的なところを猿たちや蝙蝠衆の協力により城に乗り込む機会を得た事で、バットマンはジョーカーを倒す事に専念し、サイドキックはそれぞれのお城にいる各ヴィランの戦国大名を倒すため散らばり、お城に侵入して各々で対決します。そしてバットマンはジョーカーとアーカム城の天守閣で日本刀での一騎打ちで勝負し、その勝負に勝利したバットマンは蝙蝠衆と別れを告げ、時空転移装置の城と共に元の時代に戻ります。そしてエンドロールにて現代のゴッサムシティでゴッサム市警のゴードン本部長とブロック刑事らにヴィラン達は逮捕される様子などが流れた後、ブルースが市長との会合に馬車のバットモービルで向かう所で幕が閉じます。
ポストエンドクレジットではキャットウーマンことセリーナが骨とう品屋さんで戦国時代の日本から盗んだ貴重な骨董品を出品していました。今作ではゴリラ・グロッドというDCキャラの中ではバットマンと同じDCスーパーヒーローの1人であるフラッシュのヴィランですが今回はバットマンの敵でもあり味方でもあるキーマン的な立ち位置います。
この作品では珍しく歴代ロビンが集結しており、初代ロビンことナイトウィングや2代目ロビンことレッドフード、3代目ロビンことレッドロビン、そして現在のバットマンの相棒であり4代目ロビンのダミアン・ロビンも登場します。特にこの4代目ロビンが設定もそのままで登場する作品は少なく、この映画はかなり珍しい登場人物設定での作品ではあります。
原作ではダミアン・ロビンはブルース・ウェインの実の息子で父親であるバットマンとも共闘しているのですが、今作ではその2人の親子関係の様な描写は描かれていません。その理由は私個人的な考察と推測ですが、バットマン初心者でも出来るだけ観やすい様に作られたのでこの様な形になったと思います。
今作の絵のタッチもかなり鮮やかで、キャットウーマンがバットマンに日本中に存在するヴィランを説明する時に青森のねぶた祭り風に3D仕様に描写されていたのがかなり新鮮でカッコよかったです。
バットマンファンでもアメコミ初心者でも男女関係なく誰でも楽しめる作品なのでぜひ映画「ニンジャバットマン」を観てみてください。

ニンジャバットマン
5

アニメ映画感想

2018年6月に公開されたDCコミックスの代表作・バットマンを題材にした日本のアニメ映画で、バットマンとバットマンの宿敵たちがなんと戦国時代の日本にタイムスリップし、そこでヴィラン達が戦国大名になって覇権をかけて争う状況になり、バットマンと仲間達は歴史改変を食い止めるため、宿敵ジョーカーを始めとする大名になったヴィラン達に挑むというかなり奇想天外なストーリーになっていて(笑)、これも脚本を端とした中島かずき氏の持ち味といえます。
この戦国時代にバットマンとヴィラン達がタイムスリップしたという設定だけでもすごいのですが、ストーリーが進行するに従って、ヴィラン達がはびこる居城が巨大ロボットに変形したり(笑)、最終的に戦隊シリーズのように城ロボット同士が合体したり(笑)、猿を操る笛を使って集めた猿達を合体させて巨大にしたり(笑)、さらにそこに無数の蝙蝠たちを合わせて巨大なバットマン(しかも初期のデザイン)にしたりと奇想天外ぶりが段々エスカレートしていく流れが壮絶でした(笑)。
前述の奇想天外ぶりが印象的な本作ですが、戦国時代という未知の世界で従来の戦い方ができずに葛藤するバットマンの姿はらしさが出ていましたし、今回ジョーカー役を担当した高木渉氏もはまり役になっていました。