猫絵十兵衛 御伽草紙

猫絵十兵衛 御伽草紙のレビュー・評価・感想

猫絵十兵衛 御伽草紙
10

ただの猫好き向け漫画じゃない

舞台は江戸時代。猫漫画が読みたいと手を出すと、手を出した自分をほめたくなる。
なぜなら、猫又、化け猫といった妖怪要素、さらに主人公くん十兵衛は、それらと会話ができるだけでなく、彼自身も能力持ちというおいしいファンタジー設定。
彼の浮世離れした、容姿もよい。江戸時代が舞台なため、せりふ回しも、粋であり、浮世絵を読んでいる気にすらなる。
基本的には、十兵衛と猫又のニタの世直しが主な主軸。
数多い登場人物や、猫たちが再登場する機会が多いため、キャラクターたちを覚えやすく、感情移入もしやすい。
ニタは、最強猫又であり、チート設定にも爽快感を感じることができる。
ほかにも、最強な猫又、化け猫がおり、彼らは、十兵衛にだけは協力的。
十兵衛も、人間たちと猫たち、両者のバランスを取るのがうまく、どちらにも愛されるキャラとなっている。
永尾まる先生の画力が、高いため、ち密な江戸時代の風景が分かりやすく伝わってくる。
当時の、装いだったり、街並みや、職業、髪型など、すべてにこだわりを感じる。
ファンタジーとリアリズムのバランスが、絶妙で、まるでその時代には、猫又は本当にいたのかもしれないとも、思えたりする。
読み切りの話が多いため、非常に読みやすい。
ただ、時間軸はしっかり全話を通して進んでいるため、もちろん連載ものとしての魅力は損なわれていない。

猫絵十兵衛 御伽草紙
9

やすらぎと感動

ラインマンガで無料に読めます。広告として出てきたことをきっかけに読み始めました。主人公の十兵衛はねずみ除けの猫絵を売っており、相棒のニタという猫と暮らしています。ニタは猫又で人に化けたり十兵衛の猫絵にさらなるパワーを入れ込んだりすることが出来ます。この猫絵と、二人の周りの住民たちと猫の絆や縁が絡み合って描かれており、読み終わると心が温まります。飼い主のために自分を犠牲にする猫の話は涙がでました。人が何気なく行うことを猫目線で描くというのがまた新鮮で面白いです。年末の大掃除で家から追い払われた猫たちが集まって寒さをどうしのぐか知恵をしぼりながら考える話は考えたこともない角度の内容だったので本当に面白かったです。また、捨てられてしまった猫がずっと飼い主を待ち続けるという話はだんだんやせ細っていく猫にいたたまれなくなりました。その姿を見た猫嫌いの登場人物がけなげに思えてきてだんだん猫のお世話をするようになるのですが、最後はすこし笑える展開になり、幸せな気持ちにしてくれました。描かれている猫1匹ずつどこか違い、模様や表情は様々ですが飼い主を大事に思う気持ちは全員一緒で、猫を飼いたくなりました。1話完結でよみやすいので、猫好きの方は特に読んでほしいです。