鈴木先生

鈴木先生のレビュー・評価・感想

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鈴木先生
10

金八先生を超える新たな教師がここに

長谷川博己さん主演のドラマにもなったマンガです。舞台は中学校。何か問題のある子ではなく、いわゆるどこにでもいるフツーの生徒たち。でもその見逃されそうな子たちにこそ、教師は目を向けるべきだという主人公「鈴木先生」。あたりまえの「正しさ」に安易に流されることなく、常に自問自答を繰り返しながら、今どうあるべきかを探し続ける姿には胸を打たれます。正しいことのまがまがしさを、食、性、仲間などさまざまな出来事に結び付けて考え直させるストーリーは圧巻です。テレビドラマの方よりも濃密なセリフは、何度も何度も読み返して咀嚼していかなければならないほどです。でもそれだけに、心にズシンとくるものがあります。物語はやがて、性とは何か、自由とは何か、そして生きるとは…というように思春期の重大問題、いや人が生きていくうえでぶつかるものに焦点があてられていきます。この本ではいわる正解が出されるのではなく、自分なりの答えに到達するまでの試行錯誤が描かれてるといってよいでしょう。そう、読み手自身も一緒に考えることにまきこまれていくのです。もしあなたが教育に携わるものだしたら、ぜひ手に取り、今一度自分の自分自身を見つめ直すきっかけにされてはどうでしょうか。