最悪なる災厄人間に捧ぐ

最悪なる災厄人間に捧ぐのレビュー・評価・感想

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最悪なる災厄人間に捧ぐ
8

孤独な透明人間であり異世界へ移動出来る能力を持つヒロインと、他人が見えず孤独な主人公が互いに支え合いながら生き抜こうとしていくシリアス・SF系ADV。

人間の心の闇や負の感情をじっくりと描きつつ、パラレルワールドというSF作品ではお馴染みの設定を上手く織り交ぜた力作です。
主人公の「豹馬」は、とある出来事がきっかけで他人の姿を見ることが出来なくなってしまい、自分はこの世界に1人なのでは無いかと絶望します。そんな中、孤独で心が壊れそうになっていた豹馬が、誰からも姿を見てもらえない透明人間であるヒロインの「クロ」と出会うことから物語は始まります。
本作の最も大きな特徴は「ヒロインであるクロが可愛い」の一言に尽きます。豹馬にとっては自分が唯一姿を見ることが出来たのがクロで、クロにとっても自分を初めて見てくれたのが豹馬であることから、2人はお互いを強く信頼し、共に生きていこうと誓います。
そしてクロは豹馬と違い「他人の姿を見る」ことが出来る為、クロは他人が見えない豹馬の為に色々と尽くしてくれるようになります。
時には前に人がいるから気をつけてと声をかけてくれたり、時には豹馬が誰かに殴られていたら守ろうとしてくれたり、クロが健気で一途なのがとにかく可愛く、彼女の献身的な性格が物語にも大きく影響してきます。
物語を進めていくと、クロは5つのパラレルワールドへ移動し、別世界の自分と会話することが出来るようになります。それぞれのクロの性格の違いがまた可愛く、あるクロはやんちゃで、またあるクロは真面目で勤勉と、5人が異なる性格の持ち主となっています。
それでいて全員が各世界の豹馬と出会っており、クロ達は「自分の世界だけでなく他の世界の豹馬君も助けてあげたい」と考え、5人のクロ達が一生懸命豹馬をサポートする姿が本当に健気で、見ていて癒されること間違いなしです。