母なる証明

母なる証明のレビュー・評価・感想

母なる証明
7

母と子の関係性が問題。

息子の無実を信じて母が奮闘みたいな話は、よくあると思いますが、この映画は一味違うと思いました。また、真犯人についても最後までわかりませんでした。この親子自体にも問題があり、母は知的障害がある息子を過剰に庇護しています。そしてそんな母に囚われている息子。たしかに、母からしたら、子どものためになんでもしたいというのはわかります。でも、この母は異常です。息子の犯罪だと分かったあと、息子のために自身も殺人を犯すのです。いや、異常ではないのかもしれません。それが母というものなのかもしれないです。私自身、息子が犯罪を犯したとき、自分がどうなるかなんて、想像つきません。いろいろと考えさせられました。とはいえ、やはり、べったりはよくないですね。結局、母からの一人の人間として扱ってもらえないことが息子を追い詰めたのかもしれません。ちよっと息子離れを考えないとなと思いました。映画の感想に戻りますが、母の演技はすごかったです。あの疲れた目、息子への愛情がわかりました。カメラワークもすごくて、さすが、ポン・ジュノ監督だなと思いました。韓国社会的なところもあり、わからない箇所もありますが、恐ろしくて面白い作品だったと思います。

母なる証明
8

母親という狂気的な愛のかたまり

知的障害を持った青年とその母親の物語。
主人公の青年がある女子高生殺人事件の容疑者として疑われてしまうのだが、母親は自分の一人息子を信じ、自らの手で息子の冤罪を晴らしていくために真犯人を探し出すという韓国のサスペンス映画。
ポンジュノ監督らしい独特な暗い雰囲気の演出で、母親という存在の強さ、そして子供のためならときには殺人をも犯してしまう狂気的な愛が描かれている。
とくにラストのシーンは冒頭のシーンとも繋がっており、観る人によっては後味が悪いと感じるのではないか。
婦人会のバスツアーの最中、殺人を犯してまで息子を庇った母親が、その他大勢の母親が踊り狂う輪の中に混ざって見えなくなる。カメラは大勢の「母親」という人間を写してエンドロールへ。いったいこのシーンで何を伝えたかったのだろう。
どこにでもいる母親も、主人公の母親と同じように狂気的な愛情を子供に持っている、ということだろうか。
ポンジュノ監督の他作品でも普遍的なテーマに対して訴えているメッセージ性があるが、本作品でもそれが感じられ、忘れられない作品となった。
自分の母親も、この作品の母親と同じなのだろうか。
そんなことを考えると恐ろしくもあり、母親とは本来そういう存在なのかもしれないとも思う。