幸せなひとりぼっち

幸せなひとりぼっちのレビュー・評価・感想

New Review
幸せなひとりぼっち
9

スウェーデン国民の約5人に1人が見た映画!

主人公は妻を半年前に亡くしたオーヴェという人で、毎朝自分の住む地区の見回りを欠かさず、少しのルール違反も許さないおじいさん。その口煩さに近所の人からは煙たがられています。そんなオーヴェはある日長く勤めていた工場をクビになってしまい、妻の後を追うことにします。しかしちょうど向かいに引っ越してきた家族が、タイミング良くオーヴェの自殺を邪魔してしまいます。オーヴェは別の日に今度こそ邪魔されないようにと自殺を試みるのですが、また邪魔されてしまいます。それ以来、彼らのことを疎ましく思うようになりますが、彼らと接していくうちに幼いうちに亡くした母や父親のこと、妻との出会い、一筋縄ではいかないが幸せな結婚生活のことを思い出し、生きていることの大切さにオーヴェは気付きます。
スウェーデンでは、「幸せなひとりぼっち」は同時期に公開された「スターウォーズ フォースの覚醒」をおさえてトップになり、160万人を超える動員数を記録しました。口コミでの評判によって5ヶ月ものロングラン上映だったこの映画は、第89回アカデミー賞外国語映画賞他にノミネートされたり、ゴールデンビートル賞では主役の俳優が主演男優賞を受賞したりしました。

幸せなひとりぼっち
9

スウェーデンのコメディ映画「幸せなひとりぼっち」

スウェーデン人が「こういうお爺さん、よくスウェーデンで見るよ」と言うような、頑固なおじいさんが主人公です。彼は近隣を自主的にパトロールして違反駐車に厳しく注意するような、真面目で気むずかしい人物。妻に先立たれ一人で暮らしていますが、物語の冒頭から自殺を試みます。銃、首吊り、ガス…様々な方法を試しますが、隣に引っ越してきた賑やかな家族に見事に毎回邪魔をされるという、ブラックユーモアが炸裂します。彼は妻を心から愛し、あとを追いたいと思い何度も自殺未遂を繰り返していました。しかし、隣人や喧嘩していた友人との仲直りなど、家出少年との同居など、人との暖かい触れ合いによって彼の心は少しずつ変わっていきます。(友人との喧嘩の理由が車のメーカーの好みの違いというのがクスッと笑えます。)煩わしがっていた子ども達とも打ち解け、怖くて頑固なだけの気むずかしい老人だった主人公は、いつしか街の人から頼りにされるようになります。老人が自殺を諦め妻との思い出に浸り、近所の人々と楽しく暮らすようになってから、皮肉にも持病によって亡くなってしまいます。最後は主人公の葬式という衝撃のラストシーンですが、これがとても暖かでほっとするハッピーエンドに仕上がっています。