百億の昼と千億の夜

百億の昼と千億の夜

『百億の昼と千億の夜』(ひゃくおくのひるとせんおくのよる)とは、光瀬龍による日本のSF小説である。『S-Fマガジン』にて1965年12月号から1966年8月号まで連載され、1967年に早川書房より単行本化された後、文庫化や新装版も刊行されている。日本SFにおいて壮大なスケールを持つ作品として知られ、「神」をテーマに終末観や救済といった宗教・哲学的色彩が濃く描かれているのが特徴である。
物語では、ギリシャの哲学者プラトンがアトランティス王国の文書を求めて旅立ち、自身がアトランティスの司政官オリオナエであることを自覚して時を超えた旅に身を投じる。さらに、世の無常を感じて出家し梵天王から破滅の相を聞かされたシッタータ(釈迦)や、ゴルゴダの奇蹟の後に大天使ミカエルによって地球の惑星管理員に任命されたナザレのイエスらが登場する。超越者である「シ」の命を受けたという惑星開発委員会の真意や、弥勒の救済計画を巡る壮大な謎に挑む姿が描かれている。
本作は1977年から1978年にかけて萩尾望都によって『週刊少年チャンピオン』にて漫画化されており、イスカリオテのユダの役割や阿修羅王の造形などで原作とは一部異なる設定を取り入れたコミカライズ版も高く評価されている。

百億の昼と千億の夜のレビュー・評価・感想

百億の昼と千億の夜
9

日本が誇れるSF漫画の金字塔(主役は神々!)/映画マトリックスの下地にもなっているのでは?

原作は光瀬龍のSF小説で、それを萩尾望都が漫画化した作品です。

時間旅行、太古のユートピア、神々の世界、荒廃した未来(いわゆるディストピア)、宇宙…など壮大なスケールの物語!

しかも主役のモデルは哲学者プラトン、シッダールタ(釈迦)、阿修羅王、イスカリオテのユダ(裏切り者のユダ)など胸躍る面々です。ちなみにイエスキリストが敵側というすごい設定です。

それぞれの「永遠に続くかと思われるような孤独の旅」や、それに付随する小さなエピソードでたびたび感動して泣けるのですが、衝撃だったのは近未来の描写です。

人類はカプセルのようなもののなかで眠り続け、夢を見ています。そうです、マトリックスのあの世界観です。「これマトリックスだ!」と思いました。マトリックスはもともとジャパンカルチャーから影響を受けているようなので、確実にこの作品もその構想の下地になっているのではと思います。

そんなワクワクした発見もありつつ、深い悲しみやテーマに色々と考えさせられつつ、物語は進んでいきます。終わりへと向かって…。

あれはバッドエンドともハッピーエンドとも何とも言えませんが、この壮大な作品にふさわしい孤独で美しい終わり方であったと思います。

SFジャンルが得意でない人でも読みやすいですし、1冊で完結しているのでぜひたくさんの人に読んでいただきたい名作です。