ジャージー・デビル・プロジェクト / The Last Broadcast

ジャージー・デビル・プロジェクト / The Last Broadcastのレビュー・評価・感想

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ジャージー・デビル・プロジェクト / The Last Broadcast
7

世界初の配信映画は恐怖のトラウマ映画

この世界には多くの映画があり、その中では「衝撃のオチ」というものを売りにしたものが多くありますが、本作はそういった映画の中でも極めて異質な作品になっております。
映画の内容はアメリカの田舎町であるパイン・バレンズで起きた超常現象追跡番組のスタッフが犠牲になった殺人事件の真偽を怪しんだドキュメンタリー映画監督デビットがその真相を追うドキュメンタリーとなっております。
しかし、普通の映画が月並みな超常現象オチで終わるのに対して本作は「現実と虚構とは何か」「人を殺すとはどういうことか」ということを淡々と描き、その恐怖の現象をうつすことに成功しております。
デビットはやがれ、本事件の容疑者であるジムという青年が本当の犯人ではないこと、犠牲者となった若者たちは謎の未確認生命体「ジャージーデビル」を追いかけていたこと、そしてそのアイデアを視聴者から出されたことをつきとめます。
やがて、そんな中事件を追いかけるデビットのもとにあるビデオテープがとどくことになりました。
これは犯人が送ってきたもので、ここに殺人事件の真相が描かれていると分かったデビットは修復作業を業者の女性に任せます。
しかし、その修復作業を行った女性は事件の衝撃的な事実を目の当たりにしてしまいます。
なんと、犯人はデビットだったのです。
ここでドキュメンタリーだった映画は一瞬で劇映画に変貌、凶悪な殺人鬼の本性をみせたデビットは一瞬で業者の女性を殺害してしまいました。
女性の死体をトランクにつめたデビットはパイン・バレンズの森の中へ消えていきます。
このあまりにも衝撃的なオチは公開当時、話題になりあの「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」とどちらが先に公開されたかについての裁判を起こすなど場外戦でも有名になりました。
さらに本作は世界初のインターネット配信作品となっており、制作された90年代末期特有のインターネットがまだ異形のものであったころの空気が垣間見れる作品になっております。
しかしながら、本作を制作したステファン・アヴァロスとランス・ウィーラーは本作以外はヒットに恵まれませんでした。
というのも、本作はドキュメンタリー映画としては非常に退屈で見ている人間を選ぶような内容になっております。
しかしながら、その退屈で平坦的なドキュメンタリーパートがあるからこそ後半の殺人シーンやホラー描写が生きてくる本作でしか味わえない強みにもなっております。